「ポビーとディンガン」

映画ファン感謝ディに何を見ようかと調べていたら、
ポビーとディンガン」なんて、聞いたことのない映画を見つけた。
ネットで辿って調べてみると、なんとなく気に掛かる内容でもある。
いわゆる単館ロードショウ系の映画で、富山県ではめずらしい。
巨大シネコンならではの、一日一回だけで一週間の上映らしい。
せっかくだからこれをメインに、もう一本「単騎千里を走る」を見る。
「単騎千里」は前評判通りに良くできた映画だったけど、なんだか、
最初から良くできた古典みたいな印象で、新鮮味があまりなかった。
これはまあ、事前に情報がありすぎたせいかもしれない。
雑誌で見た通りの旅をして喜ぶ人ならいいかも知れないけど、
自分が知らない世界を見たい旅人にとってはやや興ざめだ。

ところが、もう一本の「ポビーとディンガン」は新鮮だった。
この映画、どうしたわけだか一番大きな5番ホールで、
心配した通り、観客は僕の他に10人ほどしか入っていない。
そう言えば、「エレニの旅」のときもそうだったかも知れない。
ここの支配人は、本当はこんな映画が好きなんだろうか?
だから毎日一本だけでも世界中から名作を集めてきて、
こっそりと一番大きなホールを使って上映しているのかも♪
なるほど、それでサラリーマンでも見られる18:45になっている?
そんなことを考えていたら、なんだか嬉しくなってきた。
もっとも、上映作品がつまらなければ喜ぶ意味もないけどね。
ところが・・・・

物語はね、オーストラリアの田舎町に住む男の子アシュモルには、
ケリーアンという妹がいるんだ。この妹がちょっと変わっていて、
誰にも見えないポビーとディンガンという友達を持っている。
まわりのみんなは、それを妹の妄想だって言うし、アシュモルだって、
妹は妄想を見ているんだとわかっているんだ。ところがある日、
妄想でしかないはずのポビーとディンガンが、行方不明になって、
それをきっかけにケリーアンがどんどん衰弱していくんだよ。
見かねたアシュモルは、本気になってポビーとディンガンを探し出す。
探したっているはずないと思うんだけど、アシュモルは探すんだ。
そしてついに、ある奇蹟のようなことが起きるんだけど、
これがね、神の奇跡じゃなくて、人間が生みだす奇蹟なんだよね!

僕の場所から少し離れた席に、お母さんに連れられた女の子がいた。
まだ小学校4年生くらいだから、字幕映画は難しそうだけど、
その奇蹟の場面では、涙を流して泣いているのがわかったんだ。
こんなステキな映画を作った監督もえらいけど、お母さんもえらい!
映画館の支配人もステキだし、女の子はもっと輝いてまばゆい!
そんななにか思いもしなかった人間の美しい繋がりを感じて、
僕はそう、ああもう少し生きていてもいいかなあと思うんだ。
ポビーとディンガン」の映画のことを書こうとしたのに、
なんだかいろんな事を書いてしまったけど、それだけこの映画は、
さまざまな思いを繋げてくれる魅力的な作品だったって事で、
そうだなあ、こんな時は、一緒に話が出来る人が恋しくなるよ。
この映画、お勧めです。