「人はなぜ恋に落ちるのか?」

「人はなぜ恋に落ちるのか?」(ソニーマガジン)
アメリカの人類学者ヘレン・フィッシャーの著書で、
「恋と愛情と性欲の脳科学」と副題が付いている。
人の恋愛も動物の恋愛も同じ化学物質の作用として、
統計と実験の分析結果を元に書いているのが面白い。

恋愛とは何かなんて、思春期の妄想のようなことを、
現代の科学を通してみるとどう表現されるのか?
なにしろ人類の歴史は恋愛の歴史と言っていいほど、
僕らの文明の大部分は男女の営みから生まれている。
さらにその求愛行動や性交渉に費やされる情熱は、
普段の生活では考えられないエネルギーを生みだす。

狂喜乱舞してお互いを追いかけあうアメリカテンや、
海面から飛び跳ねて泳ぎ回るバンドウイルカなど、
恋はあらゆる動物に見られる共通した現象のようだ。
人間と同じように神経質になったり食欲を忘れたり、
一目惚れをする動物も数多いと分析されている。
と言っても、突然特定の相手を恋してしまう不思議は、
現代の科学を持ってしても解明されたわけではない。

それでも、恋したらどうなるのかは解明されている。
すなわちドウパミンやテストステロンなど化学物質が、
我々の脳内で連鎖反応的に活性化して幸福にしてくれる。
さらにここでも男と女は大きく作用が違っていて、
男の場合は相手に刺激を求めて活発になるのに比べ、
女の場合は安心や安定を求めておだやかになるようだ。
これは直接化学作用を増大させるセックスに顕著で、
精液には女性を幸せにする化学物質が満ちているらしい。

それは単に性的興奮とオーガズムを助けるばかりでなく、
女性の整理を整えて健康にまで寄与しているという。
そういえば昔何かの本で免疫のことを調べていたら、
通常の細胞は決して他人の体内に入り込めないのに、
精子や精液は女性の体内に入り込めると書いてあった。
なるほどそれなら何も副作用もないまま効率よく、
女性を幸せにする化学物質が体内に入り込めるだろう。

男の場合は女性の存在によって刺激を受けるだけなのに、
女性の場合はしっかり幸福の化学物質を受け取るのだ。
恋すれば女の方が幸せで安定感があるのは科学的事実?
やっぱり女性の方が生物界の本流ってことなんだろうね。
男は女の幸せをみて嬉しくなるしかなさそうです。