「魔女と暮らせば」

先週、東京まで往復した高速バスの中で、
この本をゆっくりと読むことができました。
ダイアナ・ジョーンズの「魔女と暮らせば」
これは大魔法使いクレストマンシーを描いた、
最初の作品であり、彼女の出世作でもある。

1977年に英国で児童文学賞を受賞して、
日本でも一度翻訳されているらしいけど、
現在出回っているのは2001年の新訳です。
まず魔女のお姉さんを持つ気弱な男の子がいい。
キャットと言う名前のこの主人公の男の子は、
いつも何でも自分で支配しないと気が済まない、
グウェンドリンという美人お姉さんの影にいる。

だけど彼の正体は命を九つ持っていて、
大魔法使いクレストマンシーの後継者なんです。
気弱な男の子が頼っていたお姉ちゃんは、
実は自分の思い通りに世界を操りたくて、
キャットの力を好き勝手に利用していたんです。

孤児になっていた二人を引き取った大魔法使いは、
しばらくこのお姉ちゃんに翻弄されるのですが、
やがて大事件が起こって騒動は解決されます。
ストーリーも面白いし、登場人物も興味深い。
一見荒唐無稽な魔法使いたちの話なのに、
一般小説以上にリアリティを感じてしまいました。

さらにこの小説が圧倒的に面白いのは、
ちまたに溢れた、もったいぶった小説とは違って、
思わせぶりでちんけな社会常識に毒されていない、
わざわざ読みたくもない常識が書いてないからで、
だから思い切り自由に小説の世界に入っていける。
これはやっぱり大人にも読んでほしいなあ!