森とSATOYAMA

富山県生涯学習カレッジが発行しているシリーズものから、
柳生博の「森と暮らす、森に学ぶ」を読んだ。
去年の7月に高岡であった講演会の内容を本にしたものだ。
柳生博さんは俳優であると同時に日本野鳥の会の会長で、
お住まいの長野では「八ヶ岳クラブ」で植林などもされている。
NHKの人気番組だった「生き物地球紀行」などでもおなじみだ。

この本を読むとあらためて日本の素晴らしさが見えてくる。
それは世界でも有数の豊かな自然を育んだ国の歴史だ。
たとえば世界で森林大国として知られるカナダでさえ、
森林面積は33%しかないし、森の国ドイツでも26%。
ところが日本では、今でも70%が森なのだ。
しかも未開発なわけではなくて、育てられた森だ。

近年のお金経済の優先によって、森は打ち捨てられ、
本来の豊かさは失われてきているけど、自然派まだ生きている。
この自然をもう一度見直して、多くの生き物と共生するのが、
これから人々が目指すべき方向性だと教えている。
古事記にはこの国を「蜻蛉州」と書いて「あきつしま」と呼んだ、
そのくらい生き物と共にこの国の文化は栄えてきた。

読めば読むほど、この国の自然の素晴らしさがわかるけど、
こうしたことは少し昔の田舎なら、本で読む必要もなかった。
あたりまえの生活の中で、こども達は自然に身に付けていた。
それがこの半世紀の間に破壊されてきたけれど、
まだやり直せないところまで来たわけではないだろう。
すでに世界標準語になった里山(SATOYAMA)を見直したい。