モンサントは何を夢見たのか・・・

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モンサントと聞けば、いかにも悪名高い多国籍企業で、
遺伝子組み換え食品や、除草剤による土壌破壊を思い出す。
実際にネットで検索しても、モンサントを批判する記事は多く、
世界中で多くの農民が、被害を受けていると聞いています。
とは言ってもこれほどの大企業が、未来に何を求めていたのか、
単なる利益だけとは思えないし、実はこの企業は、今はもう無い。

思えばこの企業は、遺伝子組み換え食品の張本人として、
あるいは世界中に、除草剤を撒き散らしたイメージが強いので、
いくら事業として収益を上げていても、暗いイメージがつきまとった。
世界中でこれほど悪役になった企業は、歴史的にもめずらしいので、
逆に関心を持って、何をしようとしているのか注目していました。
それが昨年の8月に、製薬会社バイエルンに買収されたのです。

企業買収されてから、まだ半年も経っていませんから、
今後どうなっていくのかは、まだ何も分からないと言っていい。
日本モンサントのホームページを見ても、バイエルン社から、
「ホームページは現在見直し中」との注意書が出てきます。
したがって今後の展開は、まだ何も分からないのが現実ですが、
直近のモンサントがやったことを見ると、希望も持てる気がします。

モンサントはその社歴において、PCBや枯葉剤を製造し、
やがてラウンドアップと、その耐性農作物によって莫大な富を得る。
このとき世界の貧しい国々で、作物の生産量を上げると約束して、
それを実現はしたけど、土地が疲弊して農民は極端に貧しくなった。
いわゆる「緑の改革」によって、農民が土地を手放してしまう、
世界中に貧困を生み出したことで、悪評が一気に高まったのです。

ところが最近のモンサントは、脱遺伝子組み換えを目指したのか、
様々な農作物企業を買収しながら、遺伝子組み換えでない種子を扱う。
まさにオーガニックな作物市場で、少しずつシェアを広げて、
今では世界の野菜マーケット市場で、最大の企業でもあるのです。
その開発手法は、悪評高い遺伝子組み換えによるのではなく、
そうかと言って従来の手法でもない、モンサント独自のものでした。

モンサントの技術者や研究者は、遺伝子組み換えだけでは、
作物の改善は出来ないことを、経験的に分かっていたのでしょう。
そうかと言って、昔ながらの交雑で有用な新品種を開発しようとすれば、
あまりにも年月が掛かるので、採算を考えることは難しいのです。
そこで遺伝子技術が役に立ち、多くの交雑した作物を遺伝子分析して、
良い結果が出る作物だけを、ピックアップして育てる手法にした。

結局モンサントは、自分の会社が目指してきたものを維持し、
世界の食糧事情において、より多くの人を養うと共に、
その困難を克服することの、両立を目指す会社だったのです。
結果としては、いくつもの批判を受ける内容があったわけですが、
最後に目指していたのは、やっぱり人類に役立つ道だった、
と考えると、今後どうなっていくのか改めて気になるのです。