恋をしなさい♪


世の中では、相変わらず結婚しない人が多くて、
婚活の勧めや、地域を挙げての婚活運動が盛んです。
そうかと思えば、結婚しない一番の理由が、
相変わらずですが、出会いの機会がないのだとか。
誰かにお膳立てしてもらわないと、出会えないなんて、
せっかく恋のワクワク感が、台無しになるでしょう。

僕は結婚しない男の条件を、全部持っていたので、
誰が考えても、生涯独身を貫くはずの男でした。
だけど一人で生きるのは寂しいので、結婚しなくても、
常に誰か付き合う相手を、求めていたのも確かです。
たとえ恋愛まで行かなくても、気に入った人と、
楽しく親しく付き合えれば、それでいいと思っていた。

東京を引き払って、富山に戻ってきたときは、
向こうで付き合っていた女性を、呼んだこともある。
そして一週間ほどのあいだを、何度か一緒に過ごして、
二人の生き方が見えれば、結婚しても良いと思っていた。
だけど彼女は、稼がない僕に不安を感じたようで、
次第に疎遠になって、そのまま連絡が途絶えたのです。

その後も何人かの人を好きになって、うまく行かず、
今の妻と知り合ったときは、僕自身が最悪の時期でした。
自然農を一緒にやる内に、意識するようになって、
一緒に沖縄旅行をしたときに、付き合うことを考えた。
そんなある日、二人で平野の海を潜っていたときに、
僕らの下にペアのマダラトビエイが現れて、留まった。

もう何十年と海に潜っていて、様々な魚に出会い、
数多くの写真も撮って、自慢してきた僕だったのです。
マダラトビエイも、平野の海では何度も出会っていますが、
ペアで出会ったのは初めてで、僕もペアだったのです。
そうした偶然が何かを示す、と感じた僕は結婚を考えて、
それから急速に親しくなって、結婚するに至りました。

当時はまだ年金ももらえないし、定職にも就いていないし、
女性から見た結婚の条件としては、最悪だった筈なのです。
だけど彼女は何を思ったか、壊れた冷蔵庫を買い換えるとき、
お金の足りなかった僕に、半分出してくれました。(^_^;)
年の差が30近くて、定職がなくて資産もない男と、
どうして結婚しようと思ったかは、今も謎だと思います。

だけど純粋な恋だった故に、お互いを信じることができたし、
あらゆる困難を乗り越える、原動力が生まれたと言えます。
結婚しない理由を並べている内は、相手ができるはずもなく、
人生において出会った人に、恋さえすれば結婚にも至る。
昔のように命がけの恋は、見かけなくなりましたが、
恋愛には遠い過去から、命を掛ける魅力があったのです。

たとえ結婚に至らなくても、恋愛は人生を豊かにするし、
生きている喜びを、恋愛ほど感じさせてくれるものはない。
僕は若い頃から、自由に生きることを望んでいましたが、
それでも必ず、誰かを好きになりながら生きてきた。
そこに生きる感動や喜びがあったから、他のことは耐えて、
自分の生き方を貫くことができた、とも言えるのです。