裁判官がツイートすれば?

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東京高裁の岡口基一裁判官が、最高裁の大法廷「分限裁判」において、
裁判に掛けられるという、前代未聞の事態が進んでいることを知りました。
分限裁判とは、裁判官の罷免や懲戒に関して行われる裁判ですが、
今回の裁判では、岡口裁判官のツイートが問題になっていたのです。
自分が受け持った裁判ではなく、一般的なニュースで知った裁判内容で、
拾われた犬の所有権が、元の飼い主と拾った人のどちらにあるか争われたもの。

岡本裁判官は、自分が裁判官であることは伏せたままで、
「公園に放置された犬を保護したら、元の飼い主が名乗り出て『返して下さい』 
え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しながら」と投稿した。
この投稿に対して、最高裁判所の分限裁判では、
「揶揄(やゆ)するような表現で当事者を一方的に批判し、傷つけた」
として全会一致により、「戒告が相当」と判断されたようです。

これに対して岡口裁判官は、このような懲戒が行われたことに対し、
「懲戒権を発動すれば表現の自由を侵害し、裁判官の独立をも脅かす」と反論。
確かにこうした一見些細なことも、よく考えてみれば重要な問題を孕んで、
どちらの言い分が正しいのか、慎重に考える必要性を感じるのです。
裁判官は独立性を重んじられて、比較的自由な立場で物事の本質を考え、
少しでも「より公正」な判断をして、よって裁判の信用性をもたらしている。

裁判官であっても一人の市民として、SNSの投稿をしていいでしょう。
だけどその投稿には、裁判官であるからこそツイートしてはいけない内容がある。
それも分かりますが、それじゃその境界線はどこにあるのか・・・
肝心な点が明確ではないので、岡口裁判官はこの点を問題視しています。
これがもし裁判官ではない人のツイートなら、問題になる内容とは思えないし、
しかもこのツイートは、裁判官として発言したものでさえないのです。

様々な情報が発信され、目的のためには手段を選ばないフェイクが流され、
僕らは日常的に、簡単には情報を信用できない時代に生きています。
それでも個々人における情報発信は、なるべく制限されるべきではないし、
一市民としての活動は、それを制限するにはよほど慎重である必要がります。
そんな中で考えてみると、僕らが入手できる程度の情報では、
どうして懲戒処分を受けるのか、よく分からない気がするのですが・・・