「グッバイ サマー」
「エターナル・サンシャイン」や、「グリーン・ホーネット」で知られた、
フランスの実力派監督が撮った、青春ロードムービーと言っていいでしょう。
2015年に制作された、フランスのエスプリ満点の映画ですが、
主人公が14歳に設定されていますから、日本でこうした映画は難しいのかも。
こうした14歳の自由さは、日本ではほとんど見られませんからね。
主人公のダニエルを演じた、アンジュ・ダルシャンをはじめとして、
つるんで旅をするテオ役のテオフィル・パケ、ダニエルが恋をするローラなど、
主要キャストは、オーディションで見出した新人俳優を採用しています。
そしてこの配役が魅力的で、個性豊かなところがそのまま活かされており、
新人であるがゆえに、先入観もなく役そのものに見えるところがいいですね。
ひ弱で美しい外見のために、女の子に見られてしまうダニエルは、
機械オタクで油臭い転校生テオと、お互いにひかれあって親友になります。
二人ともそれぞれ家庭に問題があって、友達も少ないのですが、
二人で助け合って自動車を作ったことから、夏休みはこれで冒険に出る。
日本ならすぐに見つかって引き戻されるから、夢のような話ですが・・・・
馬力の弱い車では、坂道は押して進まなければならないからと、
ダニエルの提案で行き先を変更し、実はローラのいる避暑地へ向かう。
その避暑地で移民差別のとばっちりを受け、車を燃やされてしまい、
さらにダニエルが災難を受けた男たちに追われて、車をダムに転落させます。
頭を丸坊主にして、少しづつ変わっていく主人公の冒険が興味深いのです。
ちょっと大人っぽくて、ダニエルの心を翻弄するローラも魅力的で、
この3人を中心に、周囲の子供たちや大人たちが描かれているのを見ると、
自分にもそんな時期があったことを、やるせなく思い出したりしました。
日本とフランスの違いはもちろんありますが、同じ14歳のころに感じたのは、
国や文化が違っても、同じ心象風景だったのかもしれません。
夏休みが終わるこの時期には、まさにぴったりの映画だったと思いますが、
そうでなくても、いつも人生の原点になる風景がここに描かれている。
そんな気がすると同時に、僕らが子供のころにも感じた切なさが、
これから成長する子供たちも、経験するのだなあと感慨深いのです。
みんな魅力的な子供たちが、やがて素敵な大人になりますように・・・!