恋と革命
「恋と革命とアーバンギャルド」から
世界中の社会情勢に、保守化傾向があって、
革命とか革新とかは、耳にしなくなりました。
それはとりもなおさず、恋をしなくなった、
憧れを抱かなくなった、と言うことでしょうか?
恋をするとは、既存の価値観が崩壊してしまい、
世界を革命してしまうことと、同じなのです。
それまで信じていた価値観は、恋した瞬間に壊れ、
圧倒的に新しい価値観で、世界が輝き始める。
昨日まで大切に思っていたものが、色あせてしまい、
それまで見向きもしなかったものが、輝いてくる。
大切にすべきものは、すべて恋人から立ち上り、
それ以外のなにものも、どうでも良くなってくる。
これは革命と同じで、今まで価値のあったものは、
今まで価値があったからこそ、無価値となる。
あらゆる常識は崩壊して、まさにひっくり返り、
今まで信じていた価値が、無意味なものとなるのです。
恋をしたことのある人なら、恋がもたらす価値観が、
日常のあらゆる常識を、変えてしまうと知っています。
恋と革命に対して、少し違うのが憧れと革新で、
こちらは既成の価値観を、そのまま受け入れるもの。
恋はそれまで思いもしない、まったく別の価値体系を、
突然に受け入れて、それしか考えられなくなる。
だけど憧れってやつは、今までの価値体系の中から、
自分がいいと思うものを、選び取るやり方です。
したがって革新ってやつも、今まで通りの価値観で、
多少の目新しさを持ちながら、自分が選ばれようとする。
自らが選択するものを示して、共感を広めることで、
我こそが次のリーダーとなろう、と言うのが革新です。
革命と革新は、これほどまでに違うのですから、
恋と憧れも、まったく違うものだと考えた方がいい。
今まで教えられた価値観で、より良い人を選ぶ、
いわばコンテスト的な要素のあるのが、憧れです。
それに比べて恋は、一気に価値観が崩壊してしまい、
恋人を頂点に、あらゆる大切さが再編成されるのです。
そんな恋をするひとが、いなくなった今の社会で、
革命などは、遠い昔のおとぎ話なのかもしれません。