プリマ・バレリーナ!

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SPの結果で、上位5人が自己ベストを更新、
と言うハイレベルな闘いだった。女子フィギュア。
その時点で宮原知子は、自己ベストで4位でしたから、
もしかしたらメダル圏内、と思った人も多いはず。
上位3人の誰かが、少しでもミスをしてくれたなら、
そして宮原がミスをしなければ、せめて銅メダルなら。

そんな邪な期待もあって、注目していたFSでしたが、
この5人は最高の演技で、自己ベストを更新して、
金銀銅のメダルは、SPの結果がそのままとなりました。
それにしても今年の女子フィギアで、アリーナ・ザキトワと、
エフゲーニャ・メドベージェワの強さは、素晴らしい。

去年はまだザキトワのことは知らなくて、辛うじて、
メドベージェワは知っていて、素晴らしいと思っていた。
何しろザキトワは15歳ですから、常識的に考えると、
まだ未熟なところもあるだろう、と勝手に思っていたのです。
ところが実際に始まってみると、この二人のレベルは高く、
よほどの失敗をしない限り、他の人が追いつける技ではない。

一つ一つの技は華麗で、繋ぐ間にも隙間がないので、
4分間が繋がって、一つの時間として鑑賞できるのです。
手足はすっきりと伸びて、指先までに豊かな表現力があり、
全身を見ても一つの綺麗な形に、まとまっているのです。
フィギュア・スケートと言うよりは、夢のような、
氷上のバレリーナを見るように、時間が過ぎて行って、
誰もなしえたことのない、高得点が映し出されたのです。

銀になったメドベージェワも、同じ点数でしたが、
SPの点差が響いて、合計点でザキトワが金になった。
この高度な闘いで、驚くべきはやはりザキトワの年齢です。
これだけの素晴らしい演技が、15歳で出来るなんて、
本当だろうかと訝ってしまいますが、1年前の画像を見れば、
確かにまだ幼い顔で、この1年間の成長が著しいのです。

これなら宮原や坂本が、メダルに届かないのもわかる、
と言うもので、ロシアの二人に脱帽するしかありません。
もともとロシアは、プリマ・バレエの本場ですから、
しっかりと伝統を受け継いだ素質が、氷上で花開いた。
そう考えれば、なるほどと思わずにはいられないのです。

昔と違って今の日本女性は、体型的にも欧米人に劣らない
体力的にも技術的にも、そう大きな違いはないと思うのですが、
全員がベストの表現をすれば、日本女性は穏やかな佇まいとなる。
そしてバレエの本場でもあるロシア女性は、ここぞとばかり、
プリマ・バレリーナとなって、美しく踊るのでしょう。
これからメドベージェワとザキトワの時代が、楽しみです。