史上最悪となったタンカー事故
東シナ海で起きた、石油タンカーと貨物船の衝突事故は、
タンカーが爆発炎上して、沈没してしまったために、
石油流失量は13万トンを超える、史上最悪の事故となりました。
しかもこの石油は、コンデンセートと呼ばれる超軽質原油で、
一般的な石油流失のように、海面に油膜は広がりませんが、
海水からの分離は難しく、海洋生物への影響が甚大だと言います。
原子力にしても石油にしても、石炭だってペレットだって、
大量に使えば、どこかで不測の事態が起きて環境を壊してしまう。
必要だから使うとする考え方も、わからないではないのだけど、
そうした欲求のどこまでが正当かは、誰もわかりません。
たぶん、どの程度が正しいとは言えないことなのでしょうが、
だからこそ慎重に、どうあるべきかを考える必要があるはずです。
大きいことがいいことだとか、多ければ多いほうがいいとか、
そんな感覚は、量が質を破壊しない前提でのみ言えたことです。
現代がどのように特徴的かと言えば、人類の破壊力が巨大化して、
ちょっと使い方を間違えれば、自らを滅ぼしかねない。
この恐ろしくセンシブルな時代に、欲望を抑制できなければ、
海にも山にも、生き物は住めなくなってしまうでしょう。
質素であることの、人間的な価値としての大切さが、
現代ほど重要な時代はないのに、ないがしろにされている。
質素でシンプルな暮らしをして、粗食で体を動かして生きれば、
予防医療がどうのこうのと言わずとも、健康に生きられる。
そうした価値を、積極的に教えることができなければ、
やがて人類は生存が難しくなり、新たな意味で戦争が始まる。
地域によっては、もう始まっているのかもしれない戦争は、
武器を振りかざすことでは成り立たず、哲学が必要になるでしょう。
世界をどのようにすれば、明るい未来を切り開けるのかを考え、
それを実践することでしか、納得されない価値観かもしれません。
行方は見えず困難ですが、新しい時代を切り開かないと、
今の価値観では、社会全体が崩壊しかなねいのです。