沈黙を破った人たち

イメージ 1

毎年話題になる、アメリカ・タイム誌の「今年の人」ですが、
2017年は個人ではなく、複数の告発者たちでした。
表紙には、映画界の大物プロデューサーとして知られた、
ワインスタイン氏のセクハラを、ニューヨークの新聞に告発した、
女優のアシュリー・ジャドさんや、歌手テイラー・スウィフトさん。
彼女らの告発に、多くの人が「#MeToo」で名乗りを上げたのです。

セクハラに対して、泣き寝入りはしないとする態度は、
日本ではまだ「恥ずかしさ」が先に立って、沈黙している。
だけど世界的に見れば、アメリカだけでなくヨーロッパでも、
著名な政治家まで含めて、多くの人が沈黙を破っているのです。
しかもこうした告発は、告発者を孤立させないために、
即座に共感者らがSNS発信をして、同調するのが特徴です。

「女性は最後の奴隷か?」とさえ、言われてきたように、
人類の長い歴史の中で、女性は長い間差別を受けてきました。
しかもこの差別は、文明文化が発達しても変ることなく、
一つの文化としてさえ定着していたことは、明らかだと思います。
現代では女性に限らず、同性愛者などを含めたマイノリティも、
同じように差別の無い社会を求めて、発言し始めている。

貧困であれマイノリティであれ、セクハラであれパワハラであれ、
弱い立場にある人を、人権を踏みにじるような扱いをする。
こうした人権侵害に対して、過去には多くの人が沈黙しており、
告発したならば、それこそ社会的不利益を得たのです。
しかしSNSの発達もあって、こうした弱者の声に対しても、
フィルターを通すことなく、賛同や批判が踊るようになりました。

しかも何百何万人の人が賛同すれば、権力者と言えども、
無視するわけにはいかないのが、現代版の情報社会なのです。
こうした新しい時代の流れを、象徴的に体現したのが、
アシュリー・ジャドさんや、テイラー・スウィフトさんでした。
権力さえ持っていれば、人権さえ無視できた時代と違って、
弱い人々の人権は、新たなネットワークによって守られるのです。

今年は日本でも、詩織さんによる山口敬之さん告発があり、
注目を集めましたが、この件は一度逮捕されながら取りやめになる。
取りやめになった理由として、TBSの幹部が裏で動いたとか、
様々な憶測があるだけで、真相は今も闇の中にあるようです。
欧米では沈黙を破った人に対して、多くの共感があるのですが、
女性権利の遅れている日本では、相変わらず沈黙が守られるのかも。