多様で寛容な社会へ
最近の統計を見ると、日本社会の求人件数は多く、
望めば誰でもが仕事が出来る、とさえ思われています。
だけど本当にそうかと思えば、そうでもないようで、
長く仕事を求めていながら、就職できない人は多いのです。
その理由は、マッチングの問題だとされてはいますが、
必ずしもそうとばかり言えない事情も、見え隠れしています。
健康でやる気もあるのですが、求められる仕事ができない、
必要な資格を取ることも出来ないし、求められる人材になれない。
例えば現在、一番多くの人材が求められている仕事は、
介護資格を持つ仕事ですが、この資格を取るのは難しい。
こんな資格が取れるくらいなら、他の仕事だって出来るから、
いわゆる就職弱者の救済には、なってはいません。
若い人の就業率を上げると言っても、求められる能力は、
けっこう高いものですから、特定の人しか求められていません。
言ってみれば、能力のある人にはたくさんの求人があって、
社会的能力の弱い人には、今も求人はないのです。
能力主義の時代だから、そんなことは当たり前なら、
本当に仕事を必要としている弱者に、仕事はないのです。
仕事に就ける能力のハードルを、もっと下げることで、
難しいことは出来なくても、働きたい人を採用できないのか。
社会的な理解があることで、様々な仕事に就いているようです。
それが生産性優先の日本では、雇う側も生産性を求めて、
能力の高い人ばかり採用し、人手不足と言っています。
引きこもりの人たちも、就職支援はあるものの、
せっかく就いた仕事で生産性を求められ、長続きしない。
統計的には、様々な支援を受けて仕事に就いても、
その半数の人は、続けることが出来なかったと言います。
人はそれぞれの能力があり、能力の高い人は羽ばたけば良いし、
能力の低い人にも、それなりの仕事があっていい。
日本はせっかく、経済的な豊かさを得たのだから、
これからはもっと寛容な社会に、成長して欲しいのです。
優れた能力や資格を持つ人は、自由に頑張ってもらい、
政府や行政はむしろ、能力の低い人を受け入れていただきたい。
高収入は求めないけど、自分らしく人生を過ごしたい、
そんな人も暮らしやすい、多様性のある国造りを望みます。