社会的連帯経済へ向けて!

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リーマン・ショックから始まった、世界的な金融危機は、
2010年には欧州に、深刻な問題と危機感をもたらしました。
なかでもポルトガルギリシャ、スペイン、アイルランドは深刻で、
若者の半数以上が失業していた、と聞いていたのですが・・・。
その後はどうなったのか、日本ではあまりニュースになりませんし、
経済危機だからと言って、国が消滅したとも聞いていません。

実はそれどころか、スペインなどでは社会改革が進んで、
社会的連帯経済を中心に、市民意識が変ってきていると言います。
そこで市民意識がどのように変ってきたのか、調べてみると、
大資本に雇用されて、自分を抑えて生きるのをやめたというのです。
もっと自由に自分の意思で、自分の生活を組み立てることから始まり、
資本家による搾取の社会から、共生する平等社会への変革です。

言葉で言うならば、社会的連帯経済と言うことになりますが、
これは理屈ではなく、実践することが大切と言われているのです。
それでは何を実践するのか、具体的に見ていくと面白いことに、
日本の協同組合や、ワーキングコレクティブなどが出てくる。
つまり日本でも以前から唱えられ、試みられてきたことが、
スペインなどでは、社会改革の重要な要素になっているのです。

僕自身としては、今後の政治的な考え方の基本として、
例えばサンダースのような、社会民主主義を考えていました。
ところがスペインなどでは、社会民主主義さえ手ぬるいと考えられ、
もっと直接民主主義的な、全員参加型の民主主義を考えている。
多数決の民主主義ではない、直接民主主義を理想としながら、
すべての人を平等に扱おうとする、全員参加型の政治です。

社会的経済と連帯経済は、元々資本主義経済に対抗する形で、
「もう一つの経済」を模索しながら生まれてきた、別のものでした。
それが資本主義経済に対する対抗軸として、一本化されたことで、
一つの大きな流れとなり、政治的な力も持つようになったようです。
すでにEU議会にも議員を輩出しており、フランスやスペインで、
地域の政治を担う市長や議員を、数多く輩出しています。

スペインやフランスは、歴史的にもアナキストが多いのですが、
こうした自由で独立した考えの人が、社会的連帯経済を支えている。
資本主義のお金の問題を排するために、もう一つの経済を提唱し、
ただ唱えるだけではなくて、実際にそうした組織を作っている。
特にスペインでは、めざましい成果があるので紹介すると、
服従の原則で、銀行からお金を巻き上げた人さえ挙げられます。

例えばエンリック・ドゥランは、銀行の問題を考えた挙げ句、
「巨大銀行こそが、世界に不公平、不正義をもたらす張本人だ」として、
銀行から多額の融資を受け、それを脱成長を訴える活動に投資したのです。
もちろん彼は裁判に掛けられ、有罪判決を受けますが逃亡して、
「私達は資本主義なしで生きられる」とする、フリーペーパーを発行し、
多くの支持者を得て、裁判闘争をすることになるのです。

あるいはアンダルシアのマリナレーダでは、一人の個性的な村長が、
村人全員を組合員とした組合を作り、役職に関係なく同じ給料を支払う。
自ら建設作業をすれば、建築材料と技師や左官の費用を支給されて、
月に15ユーロの家賃で、立派な家に住むことができるのです。
既存の資本主義にどっぷり浸かっていては、人々の幸せはありえない、
そう感じた人々が選んだ「もう一つの経済」が、社会的連携経済なのです。

資本主義による自由民主主義のあとに来るのは、このシステム、
社会民主主義をさえ超えた、社会的連帯経済主義とでも言いましょうか。
わかったような学者が唱える、新しい資本主義でさえもない、
不平等な結果をもたらすあらゆる資本主義を超えて、全員が平等な、
弱者を含むあらゆる諸個人が、平等に大切にされる社会を目指すこと。
こうした社会を目指す人たちの、自主的な社会を言うのです。