「女性の自立の陥し穴」

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高岡市のEフェスタで、Nプロ主催のワークショップ、
「家事の今昔と 家事労働にひそむ 女性の自立の陥し穴」
がありましたので、妻子と一緒に参加してきました。
講師は、以前に「高岡市女性プラン」策定の座長でもあった、
富山大学名誉教授の梅村智恵子さんで、家族と社会が専門です。

先生が駐車場を間違われて、来場が少し遅れましたので、
その間に参加者が家事の体験を話し、今昔の様子が見えました。
それから先生が登場されまして、現状民法の問題点なども、
経済面から捉えた場合と、愛情や精神面から捉えた場合など、
日本独特の社会通念や家族制度について、話していただきました。

いろいろお話を聞いている内に、僕が一番感じたのは、
例えば50年前の昔と今では、基本的に違ってきたものがある。
それは生活の中におけるお金経済の問題で、昔の田舎暮らしでは、
農業が中心だったし、お金無しでも自立は可能だった。
だけど現代では、生活におけるお金の必要性が大きくなって、
お金無しでは、自律した暮らしは不可能になってしまったのです。

そこでお金を稼ぐことが、自立の必要要素になるのですが、
ひとたび子どもを持つと、子どもに手が取られるようになって、
子ども無しで働く人とは、対等な能力の比較も出来なくなります。
そうすると企業では、少しでも能力を発揮してもらうために、
子育てに振り回されない人を、優先して雇うことになる。
これが単身親家庭の貧困を、招いていると言えるでしょう。

これを解決することは、競争社会の企業努力では難しく、
社会全体の宝である子どもを、社会全体で育てる必要があります。
例えば出産子育てに掛かる費用などは、国が面倒を見るのは当然で、
さらに家庭で子育てする5歳前後までは、生活費の面倒も見る。
特に現代のように、一人親による子育てが多くなると、
女でも男でも、子育てはお金を稼ぐ上で不利になるのです。

子ども一人に対して、親が子育てすることを認めるなら、
自給800円の一日8時間で、日当6400円のせめて半分、
3200円くらいは、無条件で国が支給すべきでしょう。
現代のいわゆる相対的貧困と言われるものは、お金中心の経済で、
お金がないと生活できない社会構造に、根本的な問題がある。
この問題を解決しないと、働き方改革など出来るはずもないのです。

昔のように一日家にいて、家の周りで必要な食料や日用品を作り、
お金に頼らなくても暮らしが成り立った時代は、終わっているのです。
現代では何を手作りするにさえ、お金がないと出来ないわけで、
お金さえあれば、手作り品さえ自由に手に入るのです。
こんな時代にしたのであれば、それなりのケアが必要です。

男も女も同じであれば尚更のこと、子育ては仕事で不利になる、
なんておかしな事が起きないように、手厚い子育て助成が必要です。
過去に女性が不利益だったことは、今では子育ての不利益として、
男女を問わずに問題になり、子どもの貧困が社会問題になっている。
子育てを国が助けることで初めて、落とし穴は解消するでしょう。