こども園でも苗床作り
自然農の手解きをしている、寺子こども園でも、
昨日無事に、田んぼの苗床作りを終えました。
寺子こども園は、開園してから5年になりますが、
当初から自然に親しむことが、園のテーマだったので、
僕もすぐに、お手伝いすることを決めたのです。
女の先生と子どもたちだけで、田んぼが出来るのか?
考えるところではありましたが、自然農は不耕起ですし、
男でなければ出来ないような、力仕事なんてない。
多少のことであれば、僕だっているわけだし、
寺子にはサポーターもいるから、なんとかなるはず。
そんな軽い気持ち、と言うよりは人生哲学として、
何でも基本は自分でやること、やって出来ないことは、
助けていただける人に、助けてもらえばいいと考えました。
実際の人生においてそうだから、こども園でも同じ事、
と考えて、子どもたちが挑戦することを重視したのです。
具体的にやってみれば、いろんな事がありました。
子どもたちが参加できるのは、月に一回だけでしたし、
その一回は2時間なので、ある程度の準備はこちらでやる。
だけど田植えだけ手伝うとか、稲刈りだけと言った、
おざなりの形式的なことは、やりたくなかったのです。
何よりも自然の摂理を、心身で分かってもらいたかった。
種籾の扱いから、収穫してお米になるまでの全行程を、
子どもも先生も一緒にやることで、何かが伝わると信じた。
ちょうどこの田んぼの一角には、お地蔵さんがおわしたので、
子どもたちはお地蔵さんに挨拶して、農作業を始めます。
土をほじったり平らにしたり、溝も掘って土を運び、
できあがった苗床に、水に浸けてあった種籾を撒きます。
子どもたちは手も小さいので、均等に撒くのは難しいけど、
かたまって落ちたところは、一粒ずつ拾って散らばせる。
そしてお布団になる土をかけて、わらも掛けました。
最後は鳥除けのネットを掛けて、できあがりです。
ちゃんと下準備さえしてあれば、2時間でも一通り出来て、
子どもたちは草花で遊んだり、ミミズを捕る時間もありました。
ミミズは寺子で飼っている鶏の、餌になるので持ち帰り、
ここでも命の循環を、しっかり受け止めているのです。
今月は苗床作りと種下ろしで、5月は苗床の手入れと草刈り、
6月に田植えをして、7月には田んぼの草取りをやって、
8月は地域の人と同じように、土手の草刈りもやる予定です。
9月末には稲刈りをして、ちゃんと稲架を立てて天日干しをし、
10月に脱穀と唐箕掛けで、11月に籾摺りをして終わり。
こうして一年掛けて作ったお米を、12月には皆でいただく。
小さな子どもたちに、食べることと生きることの理を、
言葉だけではなく体験として、身につけていって欲しいと思う。
年少さんは何も出来ないけど、年中さんになれば手伝えて、
年長さんになれば、積極的に体も動くしリーダーにもなれる。
寺子こども園は、食育も重視して給食を出しています。
どこかの給食センターに、発注して届く給食などではなくて、
毎日担当の職員が食材を吟味して、手作りする給食です。
規模や合理性よりも、物事の本質に触れる教えを大切にして、
何事も口先だけでなく、実践を重視するところに共感します。