YKKパッシブタウン見学
公益財団法人とやま環境財団が、主催して開催された、
「エコノワとやま交流会」に、Nプロメンバーとして参加しました。
民間企業の取り組みである、YKKパッシブタウンを見学して、
今のところYKKのパッシブタウンは、世界的にも先進の事例で、
この試みがどうなるのかは、大いに関心が持たれるのです。
午前9時前に富山駅北口で集合して、2台の大型バスに乗り込み、
10時過ぎにパッシブタウンに着いて、まずこの街の説明を受けました。
全体は大規模な再開発ですが、今は最初の2区画が入居募集されて、
第3区画が工事中とのことで、全体像はミニチュアモデルでの説明です。
そしてすでに入居されている区画の、モデルハウスを見学して、
どのようなコンセプトで、具体的にどんな設備なのかを聞きました。
地域の自然特性を活かして、風通しを良くした全体の造りは、
そう言えば昔の町は、自然の風通しが良かったことを思い出させます。
そして地下水を利用して夏の床冷房をし、南側を階段状にして、
3階建ての各階が、同じように太陽光を浴びるように作られている。
暖房は木質チップを使った集中ボイラーで、お湯を循環させ、
床暖房とパネルヒーターで、24時間一定の温度が保たれるのです。
建物全体の構造で、風や熱をコントロールして冷暖房する、
と言う基本構造ですから、見た目にも複雑な造りになっていました。
共有スペースには樹木もふんだんにあって、歩いていても気持ちが良いし、
生活空間としてかなり贅沢な印象がするのは、街中だからでしょう。
家の中を見学して思うのは、自然豊かな里山ならあたりまえの自然を、
街中で造ろうとするから、やたら贅沢な物になってしまう気もする。
実際に入居費を聞いてみると、ここは分譲はしないとかで、
3LDKの部屋だと、賃貸料だけで19万円を越えてしまうのです。
これに共益費や駐車場代を入れると、21万円を超えるようで、
これを借りられる人は、相当な経済力がある人に限られます。
しかも担当の人に聞いたところでは、この金額でも採算は難しいとか、
まだまだYKKの広告塔的な価値で、成り立っているのです。
元々はYKKの社員住宅地なので、これからも社員住宅として、
運用しながら、一般の人も入居できると言うことでした。
たぶんYKKの社員は、それ相当の補助があっての入居でしょうが、
富山県内の一般人には、難しい金額だろうと思ってしまいました。
「環境や自然をありのままに受け入れ活用することにより創り出された、
21世紀の新しいまち」は、今はまだ夢のまちと言うことでしょうか。
パッシブタウンを見学した後、YKKセンターパークへ移動して、
様々な展示を見学してから、さらにホテルアクア黒部へ行って昼食です。
昼食の後で参加者の意見交換があり、いろんな感想も聞きましたが、
今回はエネルギー側面から見た循環で、そうでしかないとも言えます。
環境問題はエネルギーの使用ばかりではなく、何を食べて生きるか、
食の問題を問わないなら、これが限界かなと思いました。
実際の人間生活には、住まいばかりではなく衣食もありますし、
そうしたライフスタイル全体から、環境を考える必要があります。
そうするとパッシブタウンも、何を着て何をどう食べるのかによって、
また違う姿になるかもしれない、と思ってしまうわけです。
少なくとも日々新鮮な食を目指せば、家の周りで野菜など育てたい、
とすれば、そもそも集合住宅で環境を考えることに矛盾はないか・・・