トランプ砲に見える反動
今回新しくアメリカ大統領になったトランプ氏は、何かにつけて面白く、
今までの常識から見れば不謹慎なほど、何事にも自分の私見が前に出てくる。
それも主にツイッターを使って、即座に社会に打ち出してくるので、
マスコミはニュースを流すよりも、後付けのコメントになるのも興味深い。
今まで何事をやるにもベールの内で、根回しの後でマスコミに発表し、
ようやく大統領の考えがわかるのとは、大きく違ってきたのです。
選挙中の公約でもあった、減税と国内インフラ投資にしても、
メキシコとの国境に壁を作る、なんだかばかばかしい計画にしても、
TPP離脱や為替政策、オバマケアの撤廃なども本当に実行に移している。
一つの中国に対しても異を唱えたり、入国を拒否する大統領令を出してみたり、
ロシアやイギリスと距離を縮める一方で、地球環境問題など無いと言ってみたり、
それはもう、腕白坊主が天下を取ったような大騒ぎになっているのです。
これだけ打って出れば、自滅することも多いだろうと思っていたら、
さっそく娘のイバンカさんのブランド出店のことで、墓穴を掘っていました。
ご存じの通り、美人でやり手と噂の高い長女イバンカさんですが、
「イバンカ・トランプ」と言う、自分のアパレルブランドを持っており、
これをアメリカのいくつかのでデパートで、出店しているのですが、
例えば百貨店ノードストロームにおいて、販売を取りやめられています。
販売取りやめになった理由は、販売不振で他のブランドに変えられた、
と百貨店側は言っていますが、もちろん本当のところはどうかわかりません。
そのことをトランプ大統領は、不公平に取り扱われたと攻撃して、
大統領報道官までがコメントして、まるで政治的な大騒ぎになっている。
娘が不公平に扱われて不利益を被っただなんて、まるで駄々っ子攻撃です。
ところがここで思わぬことが明らかになり、矛盾が表面化してきました。
国内の労働力を重視するはずのトランプ政権なのに、イバンカのブランド服は、
トランプ大統領は、こうした輸入品への関税引き上げも表明していますし、
ブランドイメージを傷つけ、売り上げを落とす手助けをしているかも知れません。
それ故に販売不振になって、百貨店が手を引いたのだとしたら・・・
我が娘かわいさに、百貨店にいちゃもんをつけた大統領ですが、
その後この百貨店は売り上げを伸ばし、株価も上昇しているようです。
なんだか滑稽な話ではありますが、これがどこか小国の指導者ならともかく、
世界一の大国アメリカの大統領ですから、どうにも薄ら寒くも思えます。
アメリカの古い常識と、常識に反旗を翻した大統領との戦いの中へ、
日本の安倍首相は、どんな戦略を持って出ていったのでしょうか?