東電強制起訴で暴かれた真実とは?

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福島原発事故を起こした東電(東京電力)が、いかに酷い企業か、
すでに多くの人が知っていることですが、さらに上塗りがありました。
2011年3月11日の大地震と、引き続いた大津波によって、
炉心溶融メルトダウン)を起こし、大量の放射能をばらまいている。
そしてこの事実を、隠しきれなくなるまで隠し続けて責任を取らず、
想定外の事故として責任を逃れようとし、多くの人々から批判を受けました。

このとき糾弾された東電のトップは、司法行政と深い癒着があり、
2013年9月9日には、東京地検が全員を不起訴処分としています。
しかし怒れる市民は粘り強く検察審査会に持ち込み、2015年7月31日に、
東電の勝俣恒久元会長、武藤栄、武黒一郎の両元副社長の3名に対して、
業務上過失致死傷罪で強制起訴を求める議決を行い、起訴が確定したのです。
このときから今日まで、知らされなかった多くのことが明るみに出ました。

それによると、2006年9月13日の保安院による安全情報検討会で、
すでに津波問題の対策を立てるように、指示されていたことがわかりました。
それでも2009年7月になるまで、何も対策が取られないままに、
産業技術総合研究所の岡村委員から、改めて津波の問題が指摘されます。
それでも審査官は、最終報告に盛り込むとして先送りすることを認め、
東電と保安院はグルになって、審査委員まで欺いていたのです。

小林「ちゃんと議論しないとまずい」
野口審査課長「保安院原子力安全委の上層部が手を握っているから余計なことをするな」
原広報課長「あまり関わるとクビになるよ」

そして2011年3月7日、東電はようやく15.7mの数字を含む、
2008年のシミュレーション結果を、国に報告することになるのです。
東電はこの報告を出してもなお、シミュレーションに合わせた対策工事は行わず、
土木学会の津波評価技術の改訂に合わせて行う、と考えていたのです。

小林「それでは遅いのではないか。土木学会による津波評価技術の改訂に会わせるのではなく、
もっと早く対策工事をやらないとだめだ」、とコメントしたことが、
強制起訴による捜査で明らかになりますが、この事実は保安院によって隠されていたのです。
そして未曾有の原発事故が起きて、いまだに人生を狂わされた人が大勢いるのです。
津波による事故は想定外ではなく、すでに想定されていたことを隠すために、
身内の土木学会へ検討依頼を行ない、会議の書類は会議後に回収していたという言う。

この検察審査会による強制起訴の議決は、これまで打ち破ることの出来なかった、
政府と検察による大企業の刑事責任の隠蔽を明らかにする、歴史的な意義を持ちます。
原発事故における東電幹部の責任は、あまりにも明らかであるにもかかわらず、
この議決無しでは強制捜査は行われず、東電の犯罪はまた闇に葬られたでしょう。
この議決の意味はそれほどに大きく、東電と政府と検察の癒着を暴きながら、
公務員の正義とは何なのかを、もう一度しっかりと考えさせることになるのです。