「世界自然遺産で見る地球46億年」

イメージ 1

一冊の本ではありますが、壮大なスケールの内容で、
読んでいるうちに、人間のちっぽけさを思わされました。
「図解 世界自然遺産で見る地球46億年」を手にして、
観光旅行のハンドブック的な感覚で、読み始めたのですが、
ともかく内容のスケールが大きくて、浮き世離れしています。

僕らが学校の歴史教科で習った、日本史や世界史は、
たかだか2千年~4千年に刻まれた、話しでしかありません。
それが地球史となれば、46億年の途方もない長さで、
地学を研究することで明かされる、まずこの事実が凄いです。
しかもそうした地球史を調べる上で、重要なポイントが、
世界各地に散らばっているのが、世界自然遺産になっている。

多くはグランドキャニオンや、ハワイ火山国立公園のように、
有名な観光地にもなっているので、名前だけは知っていたりする。
しかしどのように凄いのか、風光明媚な景観だけでない、
その景観が持つ意味を、僕はこの本で初めて知った気がします。
そして読み終わる頃には、地球が今日の姿になるまでの、
46億年の間に何があったのか、およその概要が分かります。

いわゆる「先カンブリア時代」「古生代」「中生代」と続き、
最後に現在僕らが暮らしている、「新生代」があるのです。
この新生代も「古第三紀」「新第三紀」「第四紀」とあって、
258万年前に始まった第四紀の、今は氷河時代の中の、
1万年前に始まった間氷期であり、やがてまた氷河期が来る。
そんなことがどうして分かるのかと思えば、そこに地学がある。

地球上に生命が誕生するには、酸素が必要だったわけですが、
最初に酸素供給をしたのが、シアノバクテリアと言うものでした。
西オーストラリアの世界自然遺産、「シャーク湾」では、
ストロマトライトと言う岩石状化石が、たくさん露出していますが、
これはシアノバクテリアによって出来たもので、化石は世界中にある。
この光合成によって生まれた酸素で、カンブリア大爆発がおきたのです。

このカンブリア大爆発は、生命が大発生したことを言いますが、
地殻を見ると一目瞭然で、先カンブリア紀の層には化石がない。
この時期を境にして突然のように、大量の化石が出土することから、
「カンブリア大爆発」と言われるようになった、と知ったのです。
この生命の大発生を引き起こした要因が、シアノバクテリアで、
このバクテリアが残した化石が、現在もシャーク湾で見られるのです。

こうして発生した生き物は、およそ5億年かかって進化を遂げ、
海中から陸へ上がり、広く地上を支配するようになりました。
ところが不思議なことに、あるとき突然絶滅してしまうのですが、
これを見事に示すのが、デンマークにある世界自然遺産です。
この断層では、数㎝の黒色粘土層を境に化石の様子が一変して、
下断層の中生代にはあるアンモナイトなどの化石が、上断層にはない。

この粘土層にはイリジウムという重金属が、通常の160倍もあって、
地球表層には少ない元素であることから、宇宙から来たと考えます。
つまりこのとき、巨大な隕石が地球に衝突して世界中の環境を激変させ、
これが原因となって、地球上の生物はほぼ全滅するに至ったのです。
メキシコのユカタン半島では、直径180kmのクレーターが見つかり、
この6500万年前の世界中の層が、K-pg境界層と呼ばれます。

ついつい長くなってしまいましたが、この本を読んでいたら、
壮大な地球の歴史が見えてきて、何かすっきりしてきた感じです。
僕らは本当にちっぽけな存在ですが、今こうして生きている、
この奇跡にもっと感謝して、大切に幸せを目指したいと思うのです。
自分一つの小さな百年の命と、46億年の地球が繋がっている、
僕らはここで何をすればいいのか、深く刺激になる本でした。