歳の大市
日本の各地で、毎年年末になると開かれる「歳の大市」は、
南砺市では福野地区の、商店街で開催されてきました。
僕は結婚してから、妻と一緒にこの市へ行くのが楽しみですが、
姫が生まれてからは3人で、そして保育園に入った今年は、
また二人で訪れ、のんびり出店を見て回ってきました。
だけど今年は、大雨の天気予報だったせいもあるのか、
商店街に出店は少なくて、訪れる客もまばらな感じでした。
いつも通りのコアな人たちは、今年も店を出していましたが、
僕がお気に入りだった干し芋の出店とか、お婆ちゃんが、
一人で細々とやっていた干物の店とか、無くなっていたのです。
顔見知りで合鴨農法の荒田さんは、今年も出店していましたが、
少し立ち話をした感じでは、やはり店は年々減っている。
人出が少ないから店が減るのか、店が減るから人が来ないのか、
どちらでもあるままに、昔の賑わいはなくなってきているのです。
こうした昔からの行事が廃れるのは、さみしい限りです。
ただ今の時代は、大市などで買えば安かった頃と違って、
いつでもスーパーへ行けば、たいていのものは安く手に入ります。
年末年始の季節のものも、スーパーには所狭しと売っているし、
もっと安く買いたければ、ネット販売を使う手もある。
つまり経済だけを見るなら、こうした大市に来る意味は無い。
日本各地において、得意のものを安く売る時代ですから、
年末の特別な品物も、そちらから買う方が安いに決まっている。
それでも街の大市に行くのは、そこに集まる市井の人々と、
同じ場所で同じ感覚になっていることを、楽しみたいのです。
だから餅つきのイベントとか、抽選会とかもやっている。
去年と比べても少なくなった出店を見て、さみしさを感じながら、
餅つきに時間に合わせて、振る舞い餅などもいただきました。
地元の中学生が、元気に客寄せしている声もよく響き、
人が減ったとは言っても、何かのんびりと楽しむ風情はある。
これからの時代を見せられたような、遠い感覚が残ったのです。