寺子で籾摺り
一年を通して、自然農による米作りを実践している、
寺子こども園の子どもたちが、籾摺り体験をやりました。
4月の種下ろしから始まって、5月の田んぼの準備、
そして6月の田植えから、7月の草刈りまで全部やって、
9月にもう一度草刈りをして、10月に稲刈りをする。
そうやって作った米を、ついに籾摺りするのです。
どこかの体験教室のように、形だけ体験するのではなく、
最初から最後まで手間暇掛けて、自分たちで作った米を食べる。
これが自然に親しみながら、暮らしを学ぶ確かな方法なので、
寺子こども園では、開園当初から続けている試みです。
僕はその指導をしながら、園の子どもたちと接して、
将来の町作りに、少しながら寄与していると言うことです。
こども園では、自然農による野菜作りもやっていますが、
これは僕の妻が、やっぱり自らの意思でやっている。
あまり器用ではない妻が、一生懸命野菜を作り、
子どもたちの面倒を見ているのが、楽しそうだからいい。
何でも行政に頼るのではなく、こうして市民が力を出し合い、
住んでいる町の近くで、子どもたちを育てたいと思う。
だけど南砺市では、何年か前の保育園の統合によって、
小さな保育園は無くなって、大きいこども園だけになりました。
それは建物の耐震の問題や、事務の合理化が必要だったとしても、
子どもたちを身近なところから、社会参加させる機運を失う。
町内会を活性化させたいと言いながら、その町内の行事に、
大きな保育園の子どもたちは、参加できないのです。
また寺子こども園は、正規の保育園では無いので、
行政からの支援もほとんど無く、基本的に自力運営です。
それでもやっていけるのは、町内の人たちが手を貸し、
給食を提供したり、屋外活動を手伝ったりしているからです。
寺子こども園がその名の通り、お寺の境内であることも、
多くの人の支援を得るのに、好都合なのかもしれませんね。
そして肝心なのは、こうした子育てをしたいと考えた、
園長さんの頑張りが、人々の心を動かしたと言うことです。
僕も以前からよく知っていて、市民活動を手伝ったことあり、
保育園を作る話には、最初から賛成して自然農を指導しました。
南砺市の保育園が統合される前であれば、小さな保育園でも、
市の補助を受けて安く通えた保育園が、今は無くなったのです。
こうして行政が子育てをマス化することは、時代遅れと思いますが、
南砺市の総合計画では、これを目指して実現したのです。
小さな町内会と子どもたちとの絆は、実は行政によって失われ、
やがてまた新たな問題として、解決が図られるでしょう。
・・・愚かなことですが、これが人間の営みであれば、
いつまで待っても仕方が無いから、自分でやるしかありません。