アメリカ大統領選挙
およそ1年間にわたって戦われた、アメリカの大統領選挙は、
いよいよ11月8日に、投票日を迎えることになります。
今回の選挙では、一風変わったトランプ氏が共和党候補となって、
トランプ旋風が巻き起こっていましたが、彼が当選する確率は少ない。
もともと彼は、何か優れた主張や魅力で候補になったのではなく、
既成政治家に対する反感として、支持されたに過ぎません。
そうであれば、政治家としてはサンダース氏の方が魅力的で、
サンダースが共和党にいれば、これは興味深い選挙になったはず。
なにしろ既成政治家のトップであり、代表であるクリントンに対し、
サンダースは反体制派で優秀な政治家であり、社会民主主義者なのです。
加えて言うなら、彼がイスラム教徒であることも興味深いことで、
アメリカ合衆国は、多種民族の国で信仰の自由を掲げていながら、
今までキリスト教の信者以外が、大統領になったことがない。
キリスト教の教義に反することは、認められなかった国であって、
だからこそ堕胎に対してさえ、いまだに是非が争われているのです。
合衆国の大統領にイスラム教徒がなれば、何がどう変わるか見てみたい、
そんな気持ちがあるし、彼ならクリントンといい勝負になる。
旧態依然の日本は別にして、世界の大きな変化が向かっている先は、
社会民主主義とでも言うべき、個人を大切にする社会の実現政治です。
自由の暴走を制御して、社会全体の安定によって幸せを目指す考えです。
利権に冒されて腐りきった政治と経済の癒着を、正せる人がいるなら、
それはやっぱり、現在の政治体制を変えてくれる人でなくいてはならない。
ヒラリー・クリントンが当選すれば、男性の壁を打ち破ることができる。
さらに必要なのは宗教の壁を破ることで、今はサンダースだけが、
その可能性を持つ唯一の、立候補した有力大統領候補だったのです。
また8年先を待つしかないけど、その時サンダースはどうなっているか。
万が一トランプが勝てば、しばらく様々な混乱はあるでしょうが、
キリスト教信者による政治は変わらず、大した変化は期待できません。
それでも4年後に、サンダースに変わる可能性は大きくなるので、
もしかしたらその方が、何か変化を期待できるかもしれないのです。
残念ながら今回は、そのような夢を見ることは叶いませんし、
クリントン、トランプのどちらになろうと、既得権政治は続くでしょう。