パリ協定を考える
昨年12月に、パリのcop21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、
気候温暖化対策の国際枠組みが、「パリ協定」として正式に採択されています。
このパリ協定が先週11月4日から効力を発揮し、日本でもようやく明日、
国会の承認を得ることが、スケジュールに乗ったことがニュースで流れました。
いよいよ日本でも、温暖化を阻止する活動が本格化するわけですが、
経済を力と考えて優先する限り、実効的に温暖化を阻止することは難しい。
そもそも僕らはなぜ、経済は拡大成長しなければならないと考えているのか?
100年前と比べても格段に経済成長しているのに、どこまで成長すればいいのか?
この果てしない経済拡大が必要ないなら、僕らはもう成長しなくていいはずで、
実際に今ある生産物を分かち合えば、すでに世界中の人は飢えなくて済むと言う。
だけど誰かは共助ではない競争によって、もっと多くのものを欲しがるから、
相対的貧困が発生して、競争に勝たないと生きづらい社会になってきているのです。
現代の世界を認識する上で、例えばISの存在はとても象徴的なのですが、
彼らは国土を持たないまま国家を宣言して、世界各地で内戦を起こしている。
古い概念による土地をベースにした国家ではなく、何を信じるかによって、
同じ場所にいても別の国家たり得ると、彼らは信じているのでしょう。
日本にいるといくらか事情は違いますが、同じ場所にいながら信じるものが違う、
という点においては同じことで、僕らはかつて無い多様な存在の時代にいるのです。
それでも同じ地球上に暮らしているものとして、温暖化を阻止することは、
敵味方に関係なく、土俵を守りたいという共通した価値にとって共闘できます。
ただし現代的な高エネルギー使用が止められないと、少ないエネルギーでいい人は、
国家や宗教を超えて、高エネルギー消費者そのものを敵にしてしまうのです。
国家対国家ではなく富裕者対貧困者でもなく、世界の価値観に疑問を持つ人たちが、
弱者に有無を言わさず経済成長を求める事態に、敢然と意義を申し立てているのです。
経済成長さえしていれば、人々は従順に働く消費者でいてくいれた時代は終わり、
多くの人々は自由に情報を得ることによって、人間の本質を問い始めている。
パリ協定で合意された内容は、しばらくは多くの人の目標になるでしょうけど、
やがてかならず何か違うと思う人が出てきて、今ある価値観に異議を唱えるでしょう。
少しでも多くお金を稼ぐことしか考えのない人は、指導者足るべき資格もないので、
長い時間をかけながら、お金ではない価値観を知る人がやがて台頭してくるのです。
現代において誰が誰と戦っているのか、面白い動画があるので紹介しておきます。