素朴な疑問を裏返して見れば・・・

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日本の借金が1000兆円を超えたとき、これは大変なことになる、
と思った人は多かったはずで、僕もどうなることかと心配した一人です。
それが今では1050兆円に近づき、さらに増え続けていますが、
国家財政を含めて何も破綻しないし、相変わらず経済は膨れ続けています。
プライマリーバランスなんてどこ吹く風でも、何も破綻しないのなら、
そんなこと気にしないで、好きなだけお金を使ってしまえばいいのでは?

平成9年ですから1997年に、日本の借金時計ってものが作られて、
やがて日本は財政危機になり、経済が破綻するのではないかと言われました。
ところが麻生太郎氏によれば、日本の借金は全部円建てだから、
満期になって返す必要がでれば、日本政府が印刷して返せばいいとおっしゃる。
ドルやユーロの借金なら大変だけど、円なら好きなだけ使えばいいと言うのです。

なるほどこの話はよくわかるのであって、アメリカはいくら財政赤字でも、
世界通貨のドルを印刷する国だから、好きなだけドルを印刷すれば済むのです。
イギリスが自国ポンドにこだわったのも、好きなだけ印刷できるからで、
こうした駆け引きの中で、スペインの経済破綻なども見直してみる必要がある。
ユーロが一枚岩になれないのも、参加国の文化や価値観が違うからで、
自国通貨を自由に増刷できないと、経済破綻しかねない仕組みなのです。

通貨事情から見れば、アメリカの繁栄とはドルを世界通貨にしたことで、
経済規模を好きなだけ膨らませて、ドルに頼る国々を支配することだった。
実社会の具体的な過程には、様々な詳細がついて回るでしょうが、
基本的な構図が見えてしまえば、日本で円建ての借金はいくら増えても怖くない。
現代のお金を“錬金術”とはよく言ったもので、国はいくら借金しても、
社会福祉を充実させてさえいけば、すべての国民は幸せになっていけるのです。

ありもしないお金を貸し付けて、その資金で様々な文化事業を育成し、
国の質が豊かになっていけば、借金がいくらになろうとかまわないのです。
大切なのは、すべての国民に最低限の文化的暮らしを保証することで、
そのためにいくらお金をかけようと、だれも実質的に困らないことなのです。
借りたお金なら返さなきゃいけない、と思い込む必要は無いのであって、
最後の帳尻あわせは、紙幣を好きなだけ印刷すればいいのだから心配ない。

今のところ米国ドルと欧州ユーロ、これに英国ポンドと日本円が加わり、
世界の基軸通貨と呼ばれていますが、中国元とスイス・フランも使われている。
自国通貨が国際為替の基軸通貨になるには、その実力が必要なのですが、
ここで言う実力とは、通貨発行国が安定した消滅しない国であること。
軍事的にも経済的にも文化的にも消滅しない、実効支配力を持っていることで、
それゆえに中国は軍事的にも引き下がれず、自国の権威を示したいのです。

日本は今のところ、アメリカの実効支配力に頼りながら円を強くして、
やがては軍事的にも自立したい、と言うのが政権支配者の本音でしょう。
問題はそう簡単には、もくろみ通りには行かないだろうと言うことで、
同じ方向へ進もうとしている中国や、そのほかの様々な国々との軋轢がある。
それなら危ない橋は渡らずとも、自国通貨を持つ強みを存分に発揮して、
円をどんどん増刷して、経済規模を膨らませるのも一つの方策なのでしょう。