畑の殺し屋

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" Bush killer "と言う植物を、ご存知でしょうか。
日本中のどこにでも生えて繁殖する、生命力の強い植物ですが、
僕の馬畑と呼んでいる畑には、これが繁殖して野菜を枯らします。
何でも枯らすわけではありませんが、特に大豆類など、
地面から立ち上がるタイプの植物に、よく絡んで引き倒す。
一度は大豆のほとんどをやられて、みそ用の大豆が足りなくなり、
仕方なく通販で購入して、味噌づくりをしたこともあるのです。

しかもこの植物は、どんな所にでも繁殖する上に、
ともかく生命力が強くて、2~3日で目に見えて成長する。
上の写真は、大豆に絡んで締め上げている様子を撮ったものですが、
こうして締め上げた上で、やがて引き倒して大豆を殺してしまう。
和名は「ヤブカズラ(藪葛)」と言うようですが、ヤブガラシとも言って、
この植物が繁殖すると、駆除もとても厄介だと聞いています。
そんな厄介なヤブカズラから、どうやって大豆を守ればいいか?

思い余って、ネットで駆除の方法を調べてみたら、
ラウンドアップなどの、農薬を使えばいいと書いてあります。
農薬を使わない方法としては、ひたすら引っこ抜くしかないとあって、
この努力を3年ほど続ければ、大方無くなるというのです。
およそ一反の面積がある畑ですから、草払い機も使っており、
いちいち手刈りで引っこ抜くなど、とてもやっていられません。
ただ引き抜くしかいい方法が見つからないので、ひたすら抜いている。

それでも何か、もっといい方法があるはずだと思って調べていたら、
思ってもみない2つの情報が、相次いで見つかりました。
一つはこの新芽は食べるとおいしい、と言う思わぬ情報でした。
雑草や野草を食べるのは好きで、春秋の野草はよく食べているのですが、
どこにでもあるこの新芽が、食べるとおいしいとは思ってもみませんでした。
さっそく試してみたいと思いますが、それ以上に興味深かったのが、
まったく発想を変えて、植物の性質を利用する駆除の方法です。

僕は知らなかったのですが、すでに知る人ぞ知る矢野智徳さんは、
自然に生えるものを強制的に制圧したり、排除したりしないで解決する。
まともに立ち向かうと太刀打ちできない、自然界の力に対して、
その性質を知って力を削ぐ、植物の力をいなしていくというやり方です。
僕らは普段から自然農をやっていながら、雑草対策はひたすら刈って、
それを肥料にすることばかり考えて、雑草の役目を考えてみませんでした。
それを矢野さんは、ヤブカズラに役目を終えてもらうと言うのです。

しかも単なる理念ではなく、実際に指導されているやり方が、
ヤブカズラのツルを切らずに引き剥がし、くるくると巻いて置く。
これで役目が終わったことを、ヤブカズラにわからせればやがて枯れる、
と言うのですから、まったく言葉を失うとしか言えません。
しかもこの矢野さんは、それ以外の普通の草刈にも教えがあって、
草が風になびくくらい(地上20㎝)で刈ったほうがいいと言います。
実はこの方法は僕も感じていることで、地面すれすれに刈るのは良くない。

大豆のことばかり心配して、どうやって大豆を守るかとばかり考え、
結果として問題を起こしていたから、ヤブカズラは次々に出てきていた。
そう気が付けば、まさに「問題を起こさない生き方としての自然農」と同じ、
草刈一つにも、問題を起こさないやり方があってしかるべきだったのです。
僕はまだまだ知らないことが多すぎると感じ、これからもう少し、
矢野さんの指導なども学んでいきたい、と思わずにはいられませんでした。
彼は日本各地で、「大地の再生講座」を開いておられるんですね!