南砺菊まつり

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今年も11月3日から、南砺「菊まつり」が始まりました。
11月10日までの8日間、南砺市園芸植物園を会場にして、
第50回になる北陸菊花大会と、第12回南砺菊花大会が行われ、
多くの菊の展示と共に、ステージイベントも行われます。
特に今年は北陸菊花大会50回記念で、加盟菊花団体による、
創作花壇もあって、ひときわ賑やかな菊まつりとなっています。

写真の左は、昨日のオープニング当日に撮った開会風景で、
心配された天気が快晴となった、開会式を見る菊の五重塔です。
右側上段は石川県菊花教会の創作花壇で、右側下の写真は、
園芸植物園の職員が丹精込めた、菊のガーデニングで、
右奥には幸福の女神が、ここへ来る人たちを見守っています。
そして広い植物園は、今が満開の菊花で満たされているのです。

菊は言わずと知れた、桜と並ぶ日本の国花でもありますから、
愛好家は多いのですが、育てるには人の手間が掛かります。
一本の木だけでも見応えのある桜と違い、菊はいくら丹精込めても、
一本だけでは目立たないし、たくさん集まってこそ見応えがある。
それは日本人の在り方そのもので、同じ価値観を共有した者が、
競って優秀さを求めたときに、美しい世界が開けるのです。

とは言っても人気の桜と違って、菊は若い人に敬遠されがちで、
どこの菊まつりでも、後継者がいなくなってきています。
まつりを主催する菊花協会が、年々高齢化が進んで若返らず、
このままでは菊を育てる文化が、無くなってしまうかも知れません。
多くの日本の伝統文化が、そのような危機に見舞われているので、
菊だけのことではありませんが、さみしい気がするのです。

そもそも僕らは何を価値として、どんな生き方を望んでいるのか、
菊まつり一つを考えても、見えてくる難問はたくさんあります。
趣味で菊を育てるには、時間と場所と経済的余裕が不可欠で、
富山県で菊作りが盛んなのは、そうした余裕と無関係ではありません。
菊の花びら一枚一枚に手を掛けて、日がな一日菊の世話をするには、
それだけ豊かな暮らしでないと、難しいことだと言えるのです。

南砺市園芸植物園では、スプレー菊を特産品としていますが、
これは比較的手入れも楽で、簡単に増やして長く花が咲き続ける。
個人の家で育てるには恰好の素材で、種類も毎年増やされ、
一年を通して花や苗の売買が可能な、将来性豊かな花でもあります。
僕はそんなことさえ知らずに、今の仕事を引き受けたのですが、
わかってくるにしたがって、面白味も感じてきているのです。