「プロフェッショナル・コンセプター」

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本の題名でもある、プロフェッショナル・コンセプターとは何か、
初めて聞く言葉なので、何のことかはまったくわかりませんでした。
ただ副題として、「1億4000万円の腕時計を作るという必然」、
と書かれているのが気になって、読んでみた本なのですが・・・

ここで紹介されている時計ブランド、「RICHARD MILLE」と言うのも、
僕はまったく知らないのですが、知らないからこそ気にもなります。
読み進んでいくと、スケルトンで内部が見える機械式時計のブランドで、
1個数百万円から数千万円もする、超高級時計だとわかるのですが、
なぜ時計1個が、そんなに高い値段になるのか気になって読み進みました。

すると時計が大好きなリシャール・ミルという人が、最高品質を求めて、
妥協なく時計作りをした結果が、超高級ブランドの時計になった、
それがどういうことなのかを、わかりやすく書かれた本だったのです。
ミルさんは「好きなことだけをして、作りたいものだけを作っている」、
と自ら言うように、「正確で、堅牢で、軽く、使いやすい」をコンセプトに、
可能性の限りに最高の時計を求めて、妥協のない時計を作っている。

コンセプトに妥協せずに、最高の時計を目指して作っているから、
彼の肩書きは、「ウオッチ・コンセプター」と称するのだそうです。
そうしてわかってみれば、とても親しみを感じるし共感もできる気がして、
実際にどのようなことなのか、彼はどんな人なのかを読み進むと、
改めて興味深く、彼の人となりにも納得できるものを感じられました。

彼はこのブランドを立ち上げる前から、時計業界に身を置いていましたが、
時計の現状には不満に思うことが多くて、自分で作りたいと思ったようです。
だけど彼は時計の技術者でもなく、ただコンセプトだけがあったので、
これをコーディネートすることで、妥協しない時計作りを始めたのです。
よって「RICHARD MILLE」は、一つの純粋で贅沢な理想を求めた結晶ですが、
この妥協しない夢に共感する人によって、支持されていったのでしょう。

一個最低でも数百万円という値段は、僕のような貧乏人ばかりでなく、
多くの生活者には高嶺の花ですが、それがまたステータスを感じさせます。
しかもこの時計を買う人は、その価値をわからないと買いませんから、
この価値のわかる、妥協せずに何かを求める人に支持されたことによって、
結果として成功する人たちが、このブランドの愛好者になったのです。

売ろうとはしないでも、コンセプトを理解していただけば買っていただける、
顧客が最大のセールスマンとなって、新しい客が生まれてくるのでしょう。
読めば読むほど、これは時計の話ではなく人生の話だと気が付くし、
どんな生き方をするのかが定めれば、生活は必然的についてくるようです。