さようなら 健さん

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俳優の高倉健さんが、お亡くなりになりました。
今年83歳にして、次の作品を準備中に容態が悪くなり、
10日の未明に、都内の病院でお亡くなりになったようです。
生涯に205本もの映画に出演して、さらに次の映画の準備中、
と言うのですから、根っからの映画人生だったのでしょう。

それにしても高倉健と言う人は、不思議な人です。
彼を悪く言う人はいないし、ゴシップを聞くこともなければ、
伝わってくる話は、暖かな人間味を感じさせることばかり。
それが映画での役に被さって、何処までが演技なのか、
どこからが本当の健さんなのか、わからないくらいです。

健さんは僕よりも20ほど年上ですが、時代を感じさせない、
何か筋の通った一本があって、どんな時代にも主役になる。
だけど演じている役は、決して強いヒーローじゃなくて、
むしろ弱い人を演じ、耐えに耐えて何か一矢を放つのです。
そんなところが、多くの人の共感を呼んだのでしょう。

若い頃のヤクザ映画では、粋な和服姿がよく似合い、
虐げられる人々の側に立って、義理人情を大切にする役でした。
それが熟年になってからは、目立たない市民を演じながら、
そこに一本筋が通っていることで、やっぱり多くの人の心を掴む。
これはそのまま日本人が求める、心の姿かも知れません。

単なる格好良さとは違う、深く心に共感する姿は、
私生活でもおごることなく、多くの人を驚かせたようです。
そんなエピソードを集めた番組もあるので、まずは見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=xxbJm8CsUFw
僕はこれを見ただけでも、胸が熱くなってしまいました。

そんな健さんの最後の言葉が、次のようなものだったとか。
「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」
これは比叡山延暦寺大阿闍梨酒井雄哉氏から贈られたもので、
いかにも健さんに相応しいというか、健さんらしい気がします。
僕らはどれほど大きなものを、彼から学んだことでしょう。