ガルシア・マルケスが死去

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今月の17日、小説「百年の孤独」で世界的に有名な、
ガブリエル・ガルシア・マルケスさんが、亡くなられた。
享年は87歳で、晩年はメキシコに在住しており、
この数年は記憶障害など、痴呆が進んでいたようです。

僕がこの小説家を知ったのは、三十数年前のことで、
当時東中野にあった、新日本文学学校に通っていたとき、
講師をしていた先生に、紹介していただいたのです。
ちょうど社会の様々なことに、失望していた時でしたが、
この本を薦められて読んでみて、驚いたのです。

自分が書きたかった何かが、間違いなくそこにある、
そう感じながら、夢中になって読み終えた記憶があります。
その後彼はノーベル文学賞を取り、有名になりましたが、
当時は日本で彼を知る人は少なく、驚かされたものでした。
世界には凄い人がいて、僕らの知らない世界が描かれている。

いや知らない世界なんかではなくて、知っていながら、
どう表現していいかわからなかったものが、描かれていた。
かつてのインド映画で見た、少女が夭折する話とか、
亡霊と話をする人や、ある特別な意味を持つ木の話し。
それらが人生に大きく作用する、不思議な一編の物語でした。

その後僕は様々な場所を旅して、自分でも小説を書き、
不思議な体験も何度となく遭遇して、20代を終えました。
たしかイリイチを教えてくれたのも、その先生で、
僕は日本が突き進んだ合理性とは反対に、不合理な世界、
生身の人間でしか味わえない価値感へ、進んでいったのです。

今でこそ僕は、迷うことなく人生を歩んでいますが、
20代の僕は、人生に失望して彷徨うばかりの人間で、
こうした出会いがなければ、どうなっていたかわかりません。
信じられるものが何も見えなくなって、絶望したときに、
マルケスイリイチに出会い、僕は変わったのです。

その後も僕は、危うい人生を渡ってきましたが、
今こうして幸福に暮らせているのも、そこが始まりです。
あれから多くの年月が過ぎて、僕は自然農にもめぐり会い、
今は確信を持って、自分の生活を営んでいるのです。