「美味しんぼ」騒動

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この十数年間に、雑誌は1冊しかかったことがありませんが、
そんな僕でも雁屋哲さんの「美味しんぼ」は、よく知っています。
その「美味しんぼ」で、原発事故の放射能汚染地帯へ行った主人公が、
鼻血が出たり、ひどい疲労感に悩まされる話が出たところ、
「これは風評被害を生む」と言って、非難されていると聞きました。
最近の日本では、不都合なことを伝えれば風評被害を生むと非難される。

福島や環境省からは、そんな事実はないと宣言されていますが、
作品に登場する、双葉町の前町長である井戸川克隆氏は、
「福島では同じ症状の人が大勢います」と発言して、抗議されている。
またいつものように、原発を巡る対立が生まれているわけですが、
この騒動に関して、反原発映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」
に監督として携わったかさこさんが、興味深いことを言っておられます。

「なぜこのような話がことあるごとに出てくるのか。
 それは放射能が見えない恐怖であり、またわからない危険が多いからだ。
 だから鼻血話のようなトンデモ話や極端な原発危険論が流布したり、
 逆にまったく危険性を無視する安全神話がゴリ押しされてしまったりして、
 賛成派も反対派もホントかウソかもわからない情報に振り回され、
 感情的な対立が根深くなり、結果、社会に実害を与える。
 これが原発最大の問題なのだ。」(かさこさん)

まったくその通りで、人が住む地域に原発建設の話が出てくるたびに、
経済効果を期待する人たちと、安心安全な暮らしを望む人たちが、
にわかに対立を始めて、原発の影は突然地域の静寂をぶち壊すのです。
フクシマ以降は、もしも経済効果がなければ誰も原発を欲しいとは思わない。
そのくらい原発の危険性は知られているのに、ただ経済効果のために、
果てしない危険と、騒動の原因を持ち込もうとするのです。

原発を推進する人たちは、そこの所をよく知っているので、
ひたすらお金をちらつかせ、湯水のようにばらまいて、
反対派を封じ込めてきたのですが、それはもう通じないでしょう。
お金の力を信じる人は、言論の自由まで管理したいようですが、
閉じこめても塞いでも、事実を無いことには出来ません。
せめて作品としての表現の自由は、守られる国であって欲しいです。