藻谷浩介さん講演会

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昨夜は「じょうはな座」にて、藻谷浩介さん講演会、
里山資本主義 日本の先頭を走る南砺市」がありました。
とても興味深い内容だったので、書きたいことは多々ありますが、
里山資本主義”に関しては、まだ本も読んでいませんから、
これはまた別の機会に考えるとして、今日は講演会の報告です。
特に今回の講演では、南砺市の可能性を高く評価して、
希望の持てるお話しが聞けたので、それを紹介してみます。

まず南砺市の特徴として、広い山林地帯を抱えた地域であり、
さらに平野部では、緩やかな傾斜の田園地帯が広がっていますが、
これらの特色こそが、里山資本の可能性であることを強調されました。
地元の人たちは、余所からこの土地の良いものを聞かれると、
景勝にしても食べ物にしても、「なにもない」と言うのですが、
それは自覚がないだけで、世界遺産の合掌造りから散居村景観まで、
見所はたくさんあって、日本のスイスになれる可能性だってある。

これだけの里山資本を持っていながら、活用していないのは、
今のままでも南砺市が豊かで、日本一生活保護の少ない地域だから、
将来に対する危機感も薄く、皆がそれなりに豊かだからと言うのです。
意外だったのが、同じ砺波平野の中でも隣の砺波市と比べれば、
将来の人口比率において、南砺市は極端な高齢化にはならないから、
安定した未来設計が可能な、将来性豊かな地域だというのです。
20年後30年後にも、極端な高齢化にならない要因があるのです。

確かに南砺市には、長い歴史によって育まれた豊かな農地があり、
また一度は多くの人を養った、これも豊かな山林地帯のある地域です。
さらに井波の木彫や、城端の織物などの伝統工芸がたくさんあって、
潜在エネルギー源の水路や温泉や、先端技術やアニメ工房までそろっている。
これだけそろっている地域は、日本中見てもあまり見あたらないだろうし、
僕の感覚で一つ加えて言うなら、やはり真宗の土徳の感覚が根強よく、
人にへりくだって、謙遜しているから目立たないと言うことでしょうか。

藻谷さんは里山資本主義を話されるとき、これをサブシステムと位置づけ、
お金を地域内で回すことで、余計な金融資本の拡大に荷担しないことを、
大切な方向性として持っておられるのも、好感の持てるところでした。
いわゆる地域通貨のような、鳴り物入りで地域内にお金を留めるのではなく、
例えば地域の流通しない端物野菜を、給食するような施設に持っていって、
そこでもらうチケットによって、施設を利用させてもらうやり方。
これだとGNPには寄与しませんが、生活は豊かになるのです。

同じ発想で都会へ行くお金を減らすべく、南砺市の企業や行政が、
地元の食材、建材、人材を使う比率を、年々上げる方針を打ち出すことで、
地域内の循環するマネー資本も増やし、潤沢にしていくことも出来る。
さらに未就労女性や障碍者も雇用し、それぞれの一人多役を進めることで、
女性や高齢者の生きがいを増やし、助け合い日本一の街にもなる。
同じ就労するにしても、短い時間である程度の所得になるようにすれば、
子育て中の女性も、自分の時間や収入を得られるようになるのです。

最後になりましたが、藻谷さんお話しで最初に出てきたのは、
木の利用を進めるお話しで、せっかく豊かな山林があるのだから、
建築材などにもっと利用して、有効活用できるようにすること。
現代の技術では、材木は高層ビルも出来るほどに利用価値があるので、
これを盛んに利用すれば、廃材などを使った熱のエネルギー源にもなる。
つまりは余所には無いものがたくさんあるので、人まねではなく、
自分たち独自のやりくりで、新しい経済が広げられるというものでした。

とても興味深く、僕が普段からお話ししている内容にも合致して、
これなら僕ももっと深く学んでみたい、自分なりに活かしてみたい。
そんなことを考えながら、最後まで希望の見えるお話を伺いました。
里山資本主義に関しては、これから勉強するつもりなので、
いずれまた、皆さんにもご紹介できると思います。