グローバル・タックス?

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タックスヘブンのケイマン
 
EU欧州連合で、金融税が実施されると聞いて、
JJープロジェクトの、上村雄彦さんを思い出しました。
上村さんのことは、いつか白熱教室の日本版で紹介しましたが、
現在は横浜市立大学の、国際総合科学部国際都市学系
グローバル協力コースを受け持つ、教授になっておられます。

彼と知り合ったのは12年ほど前で、当時から彼は、
日本の自立を説いて回る、熱心な日本の自立論者でした。 
JJプロジェクトを立ち上げて、僕もそれに参加して、
プロジェクトの合宿や、勉強会などが企画され、
多くのことを議論したのを、今でも覚えています。

当時砺波の「まみあな」で、JJ北陸合宿もやって、
もちろん村上さんにも来ていただいて、3日間議論しました。
その後も様々な場面でご一緒して、何度か家に泊めていただき、
夜を徹して、公私のお話しをしたことを思い出します。
彼の代表的な論文は「グローバル・タックスの可能性」で、
国際的な問題の解決のために、国際的な課税の必要を説いています。

千葉大の場所を借りて、僕も数回は議論に参加しましたが、
当時の僕は、お金によってお金の問題を解決しようとすれば、
さらなるお金の問題を生む、と考えていました。
そこで僕の提案は、お金にアッパーネットのような、
収入や個人資産に上限を設ける、仕組みを整えることでした。
だけどこの案は、一般に受け入れられることはありませんでした。

どうして受け入れられないのかは、今ならわかっています。
いわゆる実勢経済を動かしている力が、同意出来ないような案では、
いくら提案をしても、誰も動かないことが明らかだからでしょう。
そんな案は、そもそも通るはずはなかったのです。
ところが彼のグローバルタックスの案は、現実的ですから、
様々な形を取って、実現してきているようです。

例えば金融取引税もそうですし、国際連帯税というのもあり、
また新たに、環境金融というものも議論されるようになりました。
こうしたグローバルタックスによって、得られるお金により、
国際的な貧困や格差の問題を、解決しようとする考えです。
日本でも政党党派を越えて、この問題を考える国会議員団もあり、
将来的に具体的なグローバルタックスが、実現するかも知れません。

多国籍企業が、タックスヘブンの国を利用することによって、
今では大企業の税金逃れが、あたりまえにまかり通っていますが、
そうした税金逃れは、国際世論から厳しく批判されるようになりました。
企業もまた、自分たちの存在意義を考えるようになって、
社会貢献をするためにも、納税の必要を考え始めたのでしょうか。

実勢社会もまた、時代と共に変化していくのだとすれば、
大切なのは理想を語ることで、その理想を現実にすることです。
村上さんのような人が、地道な努力を積み重ねることで、
新しい価値感が社会に広がり、認知されていくならば、
未来社会は、決して捨てたものじゃないのかも知れません。