瞬間最大風速 105m/sの台風

イメージ 1
(クリックで少し大きく見られます)
 
先日フィリピンを襲った台風は、想像を絶するもので、
瞬間最大風速は、105mだったと聞いています。
いったいどれほどの風なのか、うまく想像できませんが、
僕は以前に石垣島で、瞬間最大風速60mを体験しました。
そのときは家の外に出ることは危険で、こもっていましたが、
台風が過ぎて、近くの電柱が倒れていたのを見ています。

それでもこの場合、倒れた電柱の場所は風の通り道で、
家が建つ集落の中で、壊れた家はほとんどありませんでした。
しかし今回の台風では、暴風圏全体が風速60mを越し、
瞬間最大風速は、105mと言う信じられない数値なのです。
もちろん甚大な被害ですが、伝え聞くところによると、
町の至るところに死体が散らばり、壊滅的な被害だったとか。

死者・行方不明者は、レイテ島だけで1万人を越えて、
建物の70~80%が、破壊されていると報告されています。
風速60~100mの中で、建物が破壊されてしまえば、
よほどの幸運がなければ、生き延びることは難しいでしょう。
津波に飲まれて死ぬのではない、凄まじい暴風に叩きつけられ、
何が何だかわからないままに、息絶えた人が多いはずです。

「この世の終わり」とまで表現された、今回の台風では、
海岸部の高波も、ホテルの2階部分まで飲み込んだそうです。
冬の寒さに備えた日本の東北地方と違い、フィリピンでは、
建物も平屋で簡単に作られており、風通しのよい2階建てが多い。
それがまさか全部波にのまれるとは、誰も考えていないで、
避難しないままに、叩きつけられて亡くなったのです。

レイテ島の被災地を訪れた国連関係者は、この被災地を見て、
スマトラ津波以来の大規模な災害だ!、と述べているようです。
日本はもちろん、世界各国が援助の活動を始めていますが、
この被災地が復興するにも、これから長い年月が掛かるでしょう。
こうした強靱台風が、今の世界異常気象の一つであるならば、
これからも起きるでしょうし、地球温暖化とも無関係ではない。

現在ポーランドワルシャワで開催中の、国連気候変動枠組み条約、
第19回締約国会議に出席している、フィリピンのサノ代表は、
「私たちは有効な地球温暖化対策で合意できなければ、
 自らの悪い運命と契約を結んでしまうことになるかもしれない。
 私たちは歴史的な責任に直面している」 と涙ながらに訴えています。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20131112-00029710/

経済さえ拡大すれば、人間の望みは何でも叶うかのように、
世界中の多くの政府は、経済拡大を第一優先で政策を進めますが、
今世紀に入って見えてきたものは、そんな甘い夢の実現ではありません。
富の片寄った蓄積による、貧富の差の拡大や社会不安に加えて、
何が真実かわからない情報の撹乱で、僕らは情報の津波に飲まれ、
差別と孤立の暴風の中で、逃げ場所もなく立ちつくしています。

さらに地球環境の悪化が進めば、どんなに富があっても豊かさは遠く、
豊かな自然は空想の世界にしかありえない、夢の暮らしになってしまいます。
すでに新しい社会を作る価値感は、見えてきているのも関わらず、
強靱な経済拡大を目指す勢力と、その既得利権を守ろうとする人たちが、
何万人、何十万人の人を犠牲にしても、責任を取ることもないまま、
この星を蝕んで、人間の尊厳を踏みにじっているようにも見えるのです。

このままでいいとは思えないなら、何をどうすればいいのか?
ささやかすぎない程度の一歩を、僕らは踏み出す必要があるのです。