小泉父子と脱原発

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最近の新聞テレビで、興味深いニュースと言えば、
小泉純一郎・元首相による、脱原発の名古屋講演でしょう。
すでにいろんな場所で、様々な人たちから報告されていますが、
その内容を見ると、結構本気で脱原発を唱えているようです。
もともと大勢の流れなど気にせずに、自分の考えを貫く人なので、
今までも何度となく、周囲との軋轢を生んできた人ですから、
今回も安倍首相と真っ向対立しても、脱原発を唱え続けるでしょう。

そうでなくても福島では、度重なる放射能の汚染水漏れが続き、
放射能がコントロールされていないことは、あきらかですし、
千葉県や茨城県では、子どもたちの尿検査でセシウムが検出されている。
体に入っても40日で排出されるセシウムが、検出される意味とは、
その地域の子どもたちが、慢性的に内部被曝していると言うことです。
さらに福島原発の状況は、毎日大気中に2.4億ベクレルの放射能を放出し、
汚染水も地下水にまで達して、だだ漏れの状態は海にまで達するのです。

これほどのひどい状態なのに、「放射能はコントロールされている」と、
どんな面をして言えるのか、首をかしげたくなる嘘つき首相です。
同じ自民党内にだって、脱原発の人がいても当然なのですが、
それがかつての日本に、差別の温床を作り出した小泉元首相だからこそ、
多くの人が驚いて、この発言の真意を探ろうとしているのでしょう。
インタビューの中で彼は、「3.11によって考え方が変わった」
と言っているようですし、その遣り取りを見ていても面白いのです。

フィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察した小泉さんは、
脱原発、行って納得、見て確信」と、相変わらずキャッチコピーが上手ですが、
「国会議員を『原発は必要』でまとめる自信はないけど、『原発ゼロ』という
 方向なら説得できると思った」と発言しているのは、本当のようです。
今すぐゼロは暴論という声が優勢ですが・・・と水を向けられると、
「逆だよ、逆。今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しいんだよ。
 野党はみんな原発ゼロに賛成だ。総理が決断すりゃできる。
 あとは知恵者が知恵を出す」と、確信を持って発言したようです。

これはと言える人物もなく、小粒の寄せ集めパッケージとなった自民党で、
やたら人気のある小泉純一郎の後継者、小泉進次郎さんを見ると、
今は復興担当の政務官となって、福島復興の最前線で活躍しています。
その父親で元首相が、オンカロを視察したあと脱原発を唱えているのですから、
安倍首相としては、人気者の進次郎を内閣に取り込んだつもりが、
気がつけば大きな爆弾を、背負い込んでしまったのかも知れないのです。
小泉進次郎は、父・純一郎の脱原発を掲げることが出来るのかどうか?

僕らのように3.11以前から、一貫して原発に反対してきた者ではない、
あの大惨事で目を覚まし、あらためて原発には無理があると気づいた人たちが、
発言力のある小泉親子に引かれて脱原発になるなら、それでもいいのです。
小泉元首相が言うように、今少しでも早く原発を止めてしまわないと、
将来にこれを無くすことは、今よりもさらに難しくなるのです。
さらなる誤魔化しではなく、今の世代の内に原発の廃止を決めて、
将来への負担を少しでも増やさないよう、早く決断すべき時なのです。