生かさず殺さず

イメージ 1
本多佐渡守正信
 
安倍政権になってから、大幅に増えたものは、
人を罵るヘイトスピーチと、バイトテロでしょうか。
この関係を人権の観点から教えていただいた、辛淑玉さんは、
現在東京で、「のりこえねっと」と言う団体を立ち上げ、
ヘイトスピーチレイシズムを乗り越える国際ネットワーク~
として、本格的な活動を開始されたようです。

この団体の記者会見が、明日25日の12時から、
新大久保のSHOWBOXにて(新大久保駅徒歩6分)行われるそうです。
レイシズムと言うのは、聞き慣れない人もいるでしょうが、
いわゆる排外主義と呼ばれる、人種差別のことなのです。
ヘイトスピーチレイシズムも、人種差別であって、
それだけ聞くと、自分は違うと思う人は多いのでしょうが、
これは実は、そう簡単な問題ではありません。

例えば「在日特権を許さない市民の会」と聞けば、
多くの政治特権にいやけがさしている人は、共感するでしょう。
ところが実際には、こうした団体がヘイトスピーチを行い、
新大久保あたりでは、頻繁にヘイトデモが行われているのです。
高度に管理が進んだ日本社会では、最も差別されるのは、
金銭格差による、あからさまな排外主義なのですが、
これを隠すかのように、人種差別が広がってきているのです。

世界的に見ても、富裕層と貧困層の格差は大きくなって、
特に若い人にとっては、最初からスタートに格差があります。
デンマークのように、比較的差別のない国はいいのですが、
ほとんどの国では、近年格差は広がるばかりのように見えます。
そのために、差別される側から抜け出したいがために、
差別する側にいようとする、安直な人間心理の現れが差別であり、
意味のない言葉に意味を見出したいので、エスカレートするのです。

政府はこれを煽るかのように、領土問題に固執していますし、
日の丸や国歌を重視することで、国体への求心力を強めています。
この国体重視とは、国民を大切にするわけではなく、
富裕層と呼ばれる一部の人を優遇して、その他の国民には、
体制維持を民族意識の拠り所として、一体感を持たせようとします。
その実この一体感の中では、常に差別される恐怖があるので、
熱心に差別する側に回る、強迫観念があるのですが。

国民が自由であれば、富裕層による管理社会は成り立たずに、
それは差別として批判されるので、どこかにそれ以上の差別を演出し、
自分たちの悪行を、目立たないようにしておく必要があります。
これが安倍政権による、領土問題への固執であり、
ヘイトデモやレイシズムが、蔓延するようになった原因です。
心まで貧しい人たちは、人間関係さえ希薄ですから、
バイトテロのような行為さえ、楽しみでさえあるのです。

徳川幕府では、「百姓は、天下の根本なり。是を治める法あり。
(中略)百姓は、財の余らぬように、不足なきように治むる事、道なり」
とあって、これを現代では「生かさず殺さず」と理解していますが、
よく意味を吟味してみれば、「無駄を排して、皆が幸せになるよう」
治める法だと、理解することも出来るはずでしょう。
それを政治経済の権力者たちは、自分たちの都合のいいように、
人々に希望のない暮らしを押しつけて、自分たちの利権を守るのです。

放射能に苦しんでいる人が、大勢いる現実を無視して、
「コントロールされている」と言うのも、ソフトなヘイトスピーチで、
こうしたソフト口調で、社会に差別や切り捨てを蔓延させているのです。
勢いづいた彷徨える人たちが、誰かを差別して自分を救いたい、
そんな一心で、社会に差別や汚い罵りが増えているのだとすれば、
安倍政権の政策は罪深く、人々の心を卑しめ続けるのです。