友愛平和への風~緩やかな地球的結集(絆)を求めて【後半】

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千葉大学の小林正弥教授
 
「友愛平和への風――緩やかな地球的結集(絆)を求めて」(後半)
前半を見ていない方は、前半(↓)を先に見てください。

 
(以下転載)
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●具体的課題:反核脱原発・非戦とグローカルな環境、福祉        
 
> このような友愛と和の精神に基づき、私たちは具体的には次のような考え方
について真摯な対話を行い、有志で様々なアクションを行いたい。
>
 まず、反核脱原発に関して、広島・長崎の悪夢を体験した多くの日本人が心
底から知っているように、核兵器の使用こそは、地球人類の生存を脅かす絶対的
な悪であり、友愛と全く相反する不正義である。これを必要悪として維持するこ
とも、倫理的に許されない。だから、私たちは一刻も早く地球的友愛に基づき世
界の核兵器を廃絶し「核なき世界」という大理想を実現することを目指す。エネ
ルギーの確保は、核兵器のような武器問題や安全保障の問題とは無関係に、平和
的な方法で行われなければならない。このために、日本では核武装を可能にする
ための原発核燃料サイクルはすぐに中止し、そしてこれらを可能にする法律は
すぐに改正すべきである。

>  また、現行原発のように核分裂エネルギーを利用すると、危険な核廃棄物を
生み出して将来世代に禍根を残すし、安全性も完全には確保できず、万一再び大
きな原発事故が起こると立地地域の周辺を中心にして人命や健康に多大な被害が
発生する。このようなエネルギー利用は友愛や正義に反する疑いがあるので、可
能な限り速やかにこのようなエネルギー利用の形態は廃止し、自然エネルギー
どをはじめとする別のエネルギーへと移行すべきである。

>  さらに、核戦争だけではなく、そもそも地上に再び戦争が起こらないよ
うに、 地球的に非戦の世界の実現を目指すことが必要である。【東アジア
の領土紛争が再び武力衝突や戦争になってしまうことを防止し、この地域に友愛
平和の関係を築くことが必要である。そして、全世界においても戦争が再び起こ
ることを防止し、非戦平和の世界を実現することが必要である。】

 さらに日本国憲法第9条に定められているような非戦の原理が世界大に拡大し、
将来は恒久平和を実現するために、地球連合(ないし地球連邦)などが形成され
て非戦を定めた地球的憲章が制定されるべきであろう。そのような世界の実現を
目指しつつ、東アジアや中東をはじめ、世界的に和解による紛争の解決を目指し、
紛争地域で決して戦争が再び起こらず、友好関係が実現できるように、最大限に
平和的な努力が行われるべきである。

>  次に、原発事故による放射能汚染は再び環境保全の必要性を想起させた。日
本で公害問題が発生したように、発展途上国の経済成長のためもあって、今は世
界的に水・土地・空気をはじめ地球環境汚染や森林などの環境破壊が進んでいる。
これは、地球や地域を傷つけており、私たちは環境に対しても友愛の精神をもっ
てその再生を願っている。そこで、地球環境問題と、国家や地域における環境問
題の双方の解決を目指して、グローカルな環境汚染を阻止し、環境保全や環境の
改善を目指すべきである。

>  さらに、ウォール街のデモが象徴的に示しているように、貧困問題はアメリ
カ国内や、日本国内でも深刻化しているし、またアフリカの飢餓や病気が示して
いるように世界的にはさらに深刻な状況が存在している。発展途上国では3秒に1
人 の子どもが死んでいると言われるような世界の貧困問題に関しては、MDGs
(国連ミレニアム開発目標)達成のための努力がなされているが、その目標達成
には現在よりも遙かに多くの関心と努力が必要である。国内・国外の双方におい
て、貧困問題を解決するためには、友愛に基づいて福祉を強化していく必要があ
る。そこで、グローカルな福祉、つまり地球的な福祉と、地域的な福祉の双方を
向上させていくべきである。

>  ただし、私たちの運動がこのような考え方を前提とし、全員が個々の論点に
合意しているというわけではない。私たちはこれらの論点について、対話により
多くの人びとが真剣に考えるように促し、様々な目標について合意した個々人が
有志で行動を起こすことを可能にしたいと願っている。>

●友愛平和の政治経済
  さらに、平和(・環境・福祉)を実現するためには、政治的決定が必要だか
ら、やはり政治的な発言や行動も避けては通れない。そこで、私たちは政治的な
論点についても積極的に対話を促進し、党派的な党争に巻き込まれないように留
意して、個々人の自由意思を尊重しつつ、有志によって友愛に基づき、党派を超
えた政治的ないし公共的な発言や行動を行い、いずれは友愛政治が実現してゆく
ことを目指す。たとえば、選挙の際には、上記の目的や課題を実現させるため、
個々人が自由に有志で立候補者や政党などを応援することは可能である。

>  また、これらの課題の実現のためには、経済の変革も必要であろう。友愛平和の達
成のための経済についても、私たちは対話を促進することによって、【平和
的な経済発展が可能になるように、】友愛経済のビジョンや政策についての議論
を喚起し、必要に応じて有志により超党派的な提案や行動を行うことにする。こ
のような友愛政治や友愛経済への努力により、いわば友愛世界への道が開かれ、
友愛平和が実現していくことを望みたい。>

● 実現方法:アート・オブ・ピースとしての「友愛平和の祈りと芸術」
 このような目標の実現のためには、かつての過激な運動のような闘争的・暴力
的な方法ではなく、精神的(スピリチュアル)な友愛に基づいた非暴力的・平和
的方法を用いる必要がある。外的平和を実現するためには内的平和(平安)を一
人一人の心に築くことが必要であり、内的平和が外的平和を促し、外的平和を求
めることが内的平和の構築につながるような好循環を生み出すことが重要である。
>  
このために、私たちは、様々な多様性や意見の相違、党派や宗派を超えて、友愛
平和(・環境・福祉)のために共に祈ることを提案したい。祈りや瞑想は個々人
の内的平和を達成するために有益であるとともに、それを人びとが共に行うこと
は集合的な力となって外的平和を達成するためにも有益である。そして、平和
(や環境・福祉)の実現のためには理性的な議論や主張とともに、音楽や演劇・
映像などの方法を用い、人びとの感性に訴えて、芸術的な活動や訴えを行ってい
くことも有益である。これらを「友愛平和の祈り」「友愛平和の芸術」と呼ぶこ
とができるだろう。たとえば、平和のための集会などの最初や終わりに、友愛平
和の祈りを行うことによって、意見の対立があっても、調和を達成することがで
きるだろう。私たちは、アート・オブ・ピースとして、これらを積極的に開発し、
実行していくことを目指す。

> > ●  友愛世界への風:広島・長崎、そして福島の誓い
>  私たちは、この友愛平和への運動を通じて、何よりも「友愛世界」
への風を巻き起こし、地球的な友愛平和への意識が高まっていくことを目指す。
多様性や意見の相違を尊重するので、たとえこの運動で具体的な行動を起こすに
しても、呼びかけ人も含め、その全ての人が個々の行動に同意したり賛成したり
することは求めない。個々人の自由な意思を尊重しつつ、「和」の精神で多くの
人びとが緩やかに結集することにより、友愛平和の風を地球中に吹き渡らせたい。
広島・長崎、そして福島というように、悲惨な出来事を経験した私たちは、その
経験に基づいて、二度と被爆や被曝が起こらないように力を尽くし、地球の危機
を回避し、地球的友愛により平和・良き環境・福祉という公共善を実現すること
を、改めて 心に誓う。

         小林正弥
       公共哲学センター長
     公共哲学ネットワーク代表
    http://public-philosophy.net/
   地球平和公共ネットワーク代表   
   http://global-public-peace.net/