武田邦彦さん講演会

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昨夜ですが、となみ青年会議所の5月度例会で、
武田邦彦さん講演会がありましたので、行ってみました。
武田さんに関しては、ネット上で賛否両論があり、
どちらかと言えば、激しく否定的な評価が多いので、
大丈夫なのかなぁ?って気がしていたのですが、
実際に行って話を聞くと、とても共感できる内容でした。

考えてみれば、ネット上で激しく批判する人の多くは、
自分たちに不都合なことを言われて、反発する人か、
最初から何か意図を持って、当人を貶めたい人が多いのです。
わかっていた筈なのに、相手をちゃんと知っていないと、
数多くの意見の方に流されやすいのが、日本人の特徴でしょう。
実は武田さんの講演の中で、このことも再確認しました。

今回の講演は、「どうする?これからのエネルギー!」
と題して、日本の原発が最初からいかに危険なものだったかを、
自らが原発業界に関わりながら、そこを辞めた経緯と合わせ、
素人にもわかりやすく、お話しいただけたと思います。
アメリカ製の原発は、最初から耐震性を備えていないのに、
こんなものを地震大国の日本に、建設する方がおかしい。

こんなわかりやすい話が、日本ではなぜ通らなかったのか?
そこには日本人独特の、周囲の空気に合わせる文化があって、
客観的な事実よりも、みんなの合意を重んじる性向があるのです。
彼はテレビなどでも、独自の発言をすることが多いようですが、
石化燃料はまだ百年以上枯渇しないのに、枯渇すると脅し続けるのは、
石油商品の値段を上げたいからで、情報操作だと指摘される。

昔の日本なら、企業こそは自社の利益のために嘘をついても、
政府が国民に嘘をつくなど、考えられないことになっていました。
ところが気がつけば、国民は政府に騙されて戦争を始め、
今回は原発が安全だと騙されて、また膨大な被害を受けています。
しかしもっと問題なのは、人々は政府に騙されたと思っていることで、
この政府は、フランスのような民主主義の国なら自分たちのことですが、
日本は民主主義ではないので、いつも他人事の政府なのです。

まさか武田さんの講演で、こうした話が聞けるとは思っておらず、
疲れていたのに眠くなるどころか、刺激を受けながら聞いていたら、
日本人が平気で嘘をつくのは、差別意識があるからだと言われる。
裕福な東京に対して、東北は貧しいからお金さえ支払えば、
危険な原発だって引き受けてくれるし、さらに貧しい地域なら、
札束を見せれば、放射性廃棄物の処理だって引き受けてくれる。
ただし本当のことを言えば叩かれるから、嘘をつくけど、
こんな子供だましみたいな嘘は、実は誰も信用していない!

言われてみれば、その通りにも思われる話なのですが、
それならなぜ、日本人はみんなして嘘を信じる振りをするのか?
ここには彼だけではどうにもならない、大きな闇がありそうです。
実際に彼は、やしきたかじんの番組などで、同様の発言をして、
その後は番組からお呼びが掛からなくなった、経緯もあるし、
彼は右翼だとか過激だとか、様々な避難レッテルが貼られている。
しかし話の内容を聞けば、本当のことを言っていうだけなのです。

それではなぜ、彼はそうまでして自分の発言を貫くのか?
本人の弁を綜合すると、子どもたちを守るのが大人の責務で、
自分の今の役割や楽しみは、子どもたちを守ることにあると言う。
農家の人が先祖代々の土地を守ったのは、子孫に仕事を残し、
子孫が生きていけるように、最大の努力をしたわけです。
ところが現代人は、目先の自分たちの利益のために将来を鑑みず、
今を最高に贅沢して、やっかいなことは子孫に残して平気になった。

こんなひどい状態を改める必要があるから、発言を続けているけど、
事態は不思議なくらい、何も変わらないことを嘆いておられる。
あまりにもひどい現実を前にして、相手を非難するのではなく、
話し合って納得してもらわないと、もっと悪い事態になりかねない。
そんな危惧から、注意深く事実だけを話そうと努力されていましたが、
それもこれも正しければいいのではなく、子どもが大切だからなのです。

講演の後の質問時間に、神奈川から避難されている女性が手を挙げ、
すでに神奈川でも、被曝によると見られる健康被害が出ており、
これを母親だけの判断に、押しつけないで欲しいと発言されました。
武田さんは自らの無力を噛みしめるように、民主主義の国として、
せめて法律を守らせることを、最後の砦にしたいとのこと。
もう日本人は政治を他人事にせず、自分のこととして考えたいですね。