南砺市まちづくり基本条例修正案(素案)

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2年半に渡り、ワーキンググループから市民会議に引き継いで、
様々な研修や会議を重ねて練り上げた「協働のまちづくり基本条例」は、
市の有識者による策定委員会と半年にわたる協議、調整の上確定し、
3月の定例議会に市長提案がされるところまで、こぎ着けました。
ところがここに来て、市議会の圧倒的多数会派である自民クラブから、
修正案が出されたので見てみましたら、“協働”自体が否定されています。

否定されている理由が、「協働の言葉は認知度がないので削除」、あるいは、
「協働は造語で、内閣法務局の見解からも法令にそぐわないと聞いている」
という、いわば「協働のまちづくり条例」を真っ向から否定するものです。
これでは意見の摺り合わせをしようにも、基本的見解が違うので難しい。
出てきた修正案を見ると、市民や住民自治組織、事業者に対する規定だけで、
市議会や市の職員に対する規定は、何一つ書いてありません。

協働は市と市民、行政や議会と市民団体や住民自治組織が対等になって、
それぞれが責務を果たすことで成り立つものですが、修正案には、
市民の義務だけがあって、議会や行政は何一つ決めごとがないのですから、
なるほど、これでは協働のまちづくりなどできるはずがないのです。
何をするかは一部の人が決めて、その他の市民は協力すればいい!
こんな自分勝手な人たちに任せられないから、条例が必要なのです。

彼らが提出した修正案は、以下の通りです。
 


南砺市まちづくり基本条例修正案(素案)全文
南砺市市議会 自民クラブ提出)

(前文)
 わたしたちの南砺市は、それぞれに受け継がれてきた自然と歴史そして伝統と文化を持った四つの町と四つの村が一緒になって誕生しました。お互いを尊重し、特色を活かしながら心をひとつにして、新しいまちづくりをめざしています。
 わたしたちは、このまちに「生まれてきてよかった」、「住んでいてよかった」、「これからも住み続けたい」と思えるまちになることを願っています。
 南砺市には、すばらしい財産があります。それは、世界遺産である合掌造り集落、散居村などの豊かなみどり、伝統の技など、日本のふるさとの原風景そのものです。
 わたしたちは、みんなが力を合わせて助け合い支え合う精神が残る美しい風土を、次の世代につなぎ、そして活かしていく役割を担っています。
 一人ひとりが市政に参画し、市民、議会、行政が一体となって、ともにまちづくりをすすめるために、この条令を定めます。

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市のまちづくりの基本理念を明らかにし、市民、市議会及び市の執行機関の役割と責務を果たすことにより、市民と市が協力して魅力ある個性豊かな住みよいまちづくりをすすめることを目的とする。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、まちづくりに当たっての基本原則を定めたものであり、市民、市議会及び市の執行機関がともに誠実に遵守しなければならない。
 2 市は、条例及び規則の制定、改廃及び運用並びに市の基本方向を示す各種計画の策定に当たっては、この条例の趣旨を尊重しなければならない。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1)市 市議会及び市の執行機関で構成する地方公共団体としての南砺市をいう。
 (2)市民 市内に居住する個人及び市内に拠点を有する法人その他の団体をいう。
 (3)各種団体 市の様々な課題に対しその解決に向けて取り組み、各種法令に基づいたものと同時に、市民誰もが認める団体であり、市が認める営利を目的としない公益性の高い活動を行う団体をいう。ただし、宗教及び政治に関する活動を主たる目的とする団体を除く。
 (4)住民自治組織 一定の地域に居住していることに基づいて市政を構成する最小の単位であり市が認める町内会、自治会等をいう。
 (5)事業者 市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他市内で事業を営む団体をいう。
 (6)執行機関 市長、教育委員会選挙管理委員会、監査委員、公平委員会、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
 (7)まちづくり 市民のために、伝統文化、自然環境等を活かした済みよいまち及び豊かな地域社会をつくることをいう。

第2章 まちづくりの基本原則

第4条 市民及び市は、次の各号に掲げる基本原則について、当該各号に定める事項を遵守することにより、まちづくりを推進するものとする。
 (1)市民、議会、執行機関一体の原則 まちづくりは、市民一人ひとりが参画し、市民とその代表である議会、執行機関が一体となって進めていくものとする。
 (2)情報公開の原則 市が保有する情報は、プライバシーや市の将来発展に支障をきたさない範囲で法令に基づき市民に公開しなければならない。

第3章 市民
(市民の権利)
第5条 市民は、市税全般に関わる情報について、情報公開条例や関連法令に基づき市からその提供を受ける権利を有する。ただし、営利を目的とする場合は、この限りではない。
 2 市民は、市政に関する計画及び政策の立案について、法令、条例に基づき、各段階に参画し、意見を述べることが出来る。
(市民の責務)
第6条 市民は、市政に関心を持ち、主体的にまちづくりに参画することを原則とする。
 2 市民は、自らがまちづくりの一員であることを認識し、自らの発言及び行動に責任を持たなければならない。
 3 市民は、市と協力し、魅力あるまちづくりを行うよう努めるものとする。
 4 市民は、市が実施するサービスの提供を受けたときは、市が定めるところにより応分の負担をしなければならない。

第4章 住民自治組織、各種団体及び事業者
(住民自治組織の役割)
第7条 市が認める町内会、自治会等の組織を尊重し、市民の意見を集約し、かつ自治機能を高めるものとする。
(各種団体の役割)
第8条 各種団体は、その活動について、社会的責任を自覚し、広く市民に理解されるよう努めなければならない。
(各種団体の責務)
第9条 各種団体は、その目的を達成するための寄付金又は助成金の提供者に対し、その信託された任務を適切に履行するとともに、その活動の内容について、積極的に説明する責任を負うものとする。
 2 市から支援を受ける各種団体は、代表者、連絡先、目的、会則状況等の事項を市長に届け出るとともに、その活動の内容について、市及び市民に対して説明する責任を負うものとする。
(事業者の役割)
第10条 事業者は、地域社会の一員として、事業活動を行い、地域社会との調和を重視しながら、公益的なまちづくりと市民の生活安定に寄与するように努めるものとする。

第5章 市民参加のまちづくり
(まちづくりの理念)
第11条 市民及び市は、互いの特性及び能力を尊重し、理解して協力することにより、市の資産である豊かな人間性や自然環境及び伝統文化等を活かして、持続可能で、かつ、活力ある社会の構築を図りながら、これからも住み続けたいと思えるまちづくりを推進するものとする。
(まちづくりにおける市の役割)
第12条 市は、市民や各種団体の活動を理解し、かつ見守り市政に関しての適切な措置を講ずる。
(推進のための組織の設置等)
第13条 まちづくりの基本原則を遵守し、市民、市議会及び市の執行機関が協力してまちづくりをより一層推進するために、別に定める条例により、推進のための組織を設置することが出来る。

第6章 住民投票

第14条 市長は、市政運営に係る重要事項について広く市民の意見を確認するため、次に掲げる場合は住民投票を実施することが出来る。
 (1)市において選挙権を有する者の総数の3分の1以上の者の連署をもって、その代表から請求があり、かつ市議会に付議し可決した場合
 (2)市長自らが認め、かつ市議会に付議し可決した場合
 (3)市議会において住民投票に関する議案が可決された場合
 2 住民投票の投票資格者は、市において選挙権を有する市民とする。
 3 投票及び開票結果については、公表を原則とし、当該事案を審議に反映させるとともに、住民投票の結果と反する結果が出た場合は、市長は、市長に説明する義務を有する。
 4 前3項に掲げるもののほか、住民投票の実施に関し、投票に付すべき事項、投票の期日、その方法及び結果の公表その他必要な手続きについては、別に条例で定める。

第7章 条例
(条例の見直し)
第15条 市は、この条例の施行後4年を超えない期間でこの条例の規定の見直しを行うことができる。

 附則
 この条例は、公布日の6ヶ月後から施行する。