福島第一原発4号機の恐怖

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        (3月16日に撮影された、水蒸気を発する4号機プール)
 
東京電力、政府、マスコミが、三位一体になって、
もっとも恐れていながら、ニュースにしたくない問題が、
日本中の原発に満ちあふれた、使用済み核燃料の貯蔵庫です。
事故を起こした福島第一原発だけでも、1~4号機で、
どのくらいの使用済み燃料があるのか、はっきりしませんが、
この貯蔵プールが崩壊すれば、日本は滅びるかも知れない。

10ヶ月前の福島原発事故で、稼働していなかった4号機が、
やはり大爆発したことは、皆さんも覚えているでしょう。
そのころ僕を含めた多くの人は、まず稼働中の1~3号機で、
核燃料が冷やせなくなる、メルトダウンを心配したわけですが、
これらの燃料は、それでも格納容器の中に止まっています。
つまり一定の安全性は確保されていて、その上で危機があり、
大勢の人が必死で、格納容器を冷やし続けたのです。

ところが使用済み核燃料の、プールと呼ばれているものは、
同じ原発の建家内にありながら、防護壁など何もなく、
ただコンクリート製の貯蔵プールに、水を張ってあるだけです。
この水がなくなれば、使用中の核燃料と同じように発熱し、
核燃料としての働きが始まって、膨大な放射能を放出します。
もちろん政府も東電も、この危険性は知っていますから、
3.11の事故の後は、必死でこの実体を調べている。

そこでわかったことは、4号機の核燃貯蔵プールが傾いている、
なんとか水位は保っているけど、余震で崩れる危険があった。
急いで補強工事を始め、7月30日には工事を完了していますが、
今年1月1日の余震と思われる強い揺れで、更に傾いたのか、
貯蔵プールが水漏れを起こしてしまったらしいのです。
これが原因で、2日から3日に掛けてセシウムの量が急増した。
そんな状況が、ようやくネット情報として伝わってきました。

次に大きな余震が起きたときに、貯蔵プールは大丈夫なのか?
原発事故後の一番の懸案は、そんなところにあるのですが、
政府は安全宣言してしまったから、不安なことは言いたくない。
そこで黙りを決め込んで、スルーしようとしたのでしょう。
しかし放射線量が増えたことを、隠し通すことはできず、
水が漏れただけだから、心配要らないようなことを言います。
政府がいくら大丈夫と言っても、被曝者は増えてもいる。

九電では、やらせ問題で責任を取らなかったトップのコンビが、
東電が解体されそうな厳しい状況を受けて、ようやく辞任しますが、
女性問題で飛ばされた保安員と同じく、職務責任は問われない。
東京電力も、いつまで経ってもどうしようもない企業体質だから、
この先も信用できないし、現に放射能汚染は続いているのです。
昨日の昼には、また福島で震度4の地震がありましたから、
僕らはもう、安心して暮らせない社会に暮らしているのです。

この不安な社会から逃れるためには、価値観を変える必要がある。
経済拡大よりも、自然環境や暮らしの多様性を大切にできるように、
まず自分たちの暮らしを、少しでもシンプルにする必要があるでしょう。
合理性や利便性ばかりを求めて、人間性を失ってしまうのではなく、
不合理で不便でも、人間として楽しく命を活かして暮らしたい。
多くの人がそのように目覚めて、歩み出す必要があるのです。