自然農的な適期と極意

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自然農を実践していると、世間の常識通りにはいかないことが、
あらゆる場面で出てきますので、なにかと自分の判断が必要になります。
例えばネギ一つを取ってみても、通常は春先に種をおろして夏に定植するか、
秋に種をおろして夏に定植するのが一般的で、テキストにもそう書いてある。
種下ろしの時期や定植の時期などは、農法に関係ないことですから、
自然農の指導書にもそう書いてありますが、今回僕は先週に定植しました。

10月下旬にネギの定植をする人は、北陸では珍しいかもしれませんが、
このネギ苗は、今年の夏に自家採種した種から苗を育てたもので、
さらにその種をネギ坊主から採種出来たのが、夏の盛りの頃だったのです。
夏の盛りに取れた種がいつ発芽するのか?はっきりわかりませんでしたので、
いったん種を乾燥させた8月末に撒いてみたけど、うまく育ちません。
ネギは気温が高いと発育しないとも聞きますし、草の勢いが強くても負ける。
そこで9月下旬に蒔き直してみたら、一ヶ月ほどで10㎝近い苗になりました。

テキスト通りなら、ここで間引きだけして年を越し、春先に定植になりますが、
ネギ苗は強いし、前回も秋に定植して良く育ったことを思い出したので、
畑の空いた場所に深さ20㎝ほどの溝を掘って、ネギを定植してみました。
雪が積もる前に土を被せれば、問題なく育ってくれるでしょう。
これはあくまでも、この土地でのネギの適期に合わせての作業なので、
テキスト通りでなくても、存分に育ってくれるはずなのです。

お米もしかりで、周辺の田んぼはすでに全部稲刈りが終わっていますが、
僕らの自然農田んぼだけは、今も稲が成長を続けて、穂をなびかせています。
また畑の中では、前年のキャベツの茎に新しい芽が成長して育っているし、
大根や白菜は、こぼれ種から育ち始めたものが、虫の被害を押さえて育っている。
アサツキやラッキョウは、もう何年も同じ場所で勝手に分蘖して育っている。
こうした植物の植生を大切にしていけば、農はもっと楽になるはずで、
儲けようとあくせくしなければ、食の自給は誰でも安全安心に賄えます。

しかし自然農で作物を育てる場合、平地ではなかなか土地が得られません。
農地はたくさん空いていそうなのに、自然農だと使わせてもらえないのです。
その理由は、農薬を使わないから害虫が発生して、周囲に被害が及ぶ!
と信じ込まれているからで、この点で話し合いの余地はないのです。
実際には、農薬を使うことで害虫も益虫もいなくなってしまうからこそ、
生態系のバランスが悪く、作物を作るたびに害虫だけが蔓延るのですが・・・

農薬を使わないと作物が出来ない!と強く信じ込んでいる人に、
間違っていることを説得しようとすれば、対立を生むだけですから、
ここは引き下がって、新たに理解してもらえる場所を探すしかありません。
10年前でしたら、さっさとあきらめるしかありませんでしたが、
そこは担い手のいなくなっている農家の土地が、いろいろありますから、
顔の広い人にお願いしていたら、やっぱり候補地が出てきました。
まだ確定ではありませんが、1200㎡ほどの田んぼと600㎡ほどの畑。

ここは他の耕作地とは道一本離れているので、無農薬でもいいそうで、
子育て親子で遊べる畑も、いくらか用意することも出来そうです。
これから希望者に下見をしてもらって、問題なければ借りて自然農田畑です。
独裁や多数決で強引に反対者を従わせるのではなく、情報と話し合いで、
誰もが犠牲者にならず自分の思う生き方が出来る、もしかしたら、
新しい市民民主主義の手法こそ、自然農の極意なのかもしれません。