トラスト候補地

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9月のOJTでお世話になった、生態系トラスト協会のメンバーが、
能登半島でトラスト候補地の視察をすると聞いて、参加してきました。
UFOで有名な羽咋市の、羽咋高校で待ち合わせと言うことで、
南砺市の我が家からは、およそ2時間半の余裕を持って出掛けたら、
1時間半ほどで羽咋市に着いたので、気多大社まで足を伸ばしました。

日本の古い神社では、もともと自然そのもののご神体が多く、
この大社では、裏の「入らずの森」がご神体にあたるのでしょう。
いつの時代からともわからないくらい古くから、この鎮守の森は守られ、
開発はおろか、基本的には人が立ち入ることもない広大な森なのです。
この森もトラスト候補地ではあるのですが、たぶんこの森であれば、
トラスト協会でなく、地元の人たちによって自然が守られていくでしょう。

あらためて集合場所に行き、17人が5台の車に分乗して北上です。
能登半島は学生の頃から何度も来ているので、ある程度知っていますが、
今回は地元の人の案内で、普段は人の入らない山を案内してもらう。
事前の案内では、富士山の樹海よりも深い森林が続いているとのことで、
地図で見ればそう大きくない半島ですから、半信半疑に思っていると、
車はどんどん山の中に入っていって、道があるのかないのか・・・

左下写真のような、身の丈以上の草に覆われた道を進んでいくと、
やがてあたり一帯を見渡せる眺望のいい高台に着いて、説明を受けます。
この広大な森林が、ほとんど数人の所有地だと言うから驚きですが、
案内してくれた人も山をいくつか持って、先々代の頃までは羽振り良く、
山の材木を海に下ろして売り渡しては、豪遊してていたと聞きました。

海外からの輸入材が安く手にはいるようになると、材木は売れなくなり、
さらに新しい建築資材によって、家が建築されるようになってからは、
山々は次第に放置され、手入れが行き届かない荒れ地になってきた。
だけどそれ故に、昔の自然が戻りつつあるのも事実のようですが、
ちゃんと手入れしていた時代の山とは違い、荒れ山では価値がない。
20年後50年後に向けて、どう手入れするかが課題でしょう。

トラスト協会などが出来ることとしては、この山の所有者たちが、
いよいよ管理できなくなって、山を手放すことになる場合には、
そこが自然の植生や生態系にとって、価値のある場所だとわかれば、
トラスト運動をしてお金を集め、山を買い取って管理することになる。
こうした運動を進め、確保した山を管理するのがトラスト協会の役目で、
日本ではまだなじみが薄いですが、イギリスでは百年以上の歴史もある。

生態系トラスト協会の視察会でしたが、集まった人たちは様々で、
自然に関心が深く、自然の生態系を守りたい意識だけが共通しており、
行った先々で山の植物やキノコを見る、実に賑やかで活気ある視察でした。
アサギマダラを見つけたときは、白い布を振ると近寄ってくると聞いて、
白いタオルなどを大きく振ったら、本当に頭上まで寄ってきました。

自然界の豊かさを失ってしまえば、人間は滅んでしまうでしょう。
滅ばずに生きているとしても、味気ない人生しか過ごせなくなるでしょう。
人間は最初から最後まで、自然の生態系の一部でしかないのですから、
自然の豊かさなしには、人生を価値あるものにすることさえ覚束ないのです。
この大切な自然界の生態系や植生を、忘れることなく大切に暮らしたい。
そうすれば、人はそれぞれの努力によって人生を豊かに暮らせるでしょう!

生態系トラスト協会の皆さん、楽しい視察をありがとうございました。