放送倫理は誰のものか?

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日本のテレビ業界が、嘘ばかりで成り立っていることは、
3.11報道によって露呈しましたが、今も続いているようです。
先日もテレビ東京の情報バラエティー番組で、サトウキビ農家を取り上げ、
補助金を受けている農家の、優雅な暮らしぶりを紹介したところ、
「事実を正確に伝えず、偏見をあおる結果を招いた」として、
放送倫理検証委員会から、注意されたことがニュースで紹介されました。

さて、こうした編集による嘘は、テレビ番組ではいつものことですが、
それではどんなときに問題視され、どんなときは平気なのかが気になります。
今回のバラエティー番組で紹介された農家が、補助金を受けていながら、
優雅に暮らしているかどうか、放送倫理検証委員がわかっているのかどうか。
たぶんどこか無視できない権威筋から、「こんな放送をされては困る」と言われ、
あわてて注意せざるを得なかったことが、どうしても垣間見えます。

なにしろテレビ番組が嘘ばかりなのは、すでに日常茶飯事ですから、
例えば原発が安心安全だなんて嘘が発覚しても、倫理委員会は何も言わない。
それどころか、東電はあれだけ嘘の宣伝をしていたにもかかわらず、
過剰表示や嘘の広告に対する注意さえ、いまだに聞いたことがありません。
そうしてみると、今回注意されたサトウキビ農家の紹介番組の場合は、
農家の補助金利権に絡む大元が、こんな番組を流されて怒ったのでしょう。

そもそも農家の補助金なんて、実際に困っている農家には行かず、
利権で固まった一部の裕福な農家が、捕まえて離さない金蔓でしかない。
そんなことは農家の人ならみんな知っているけど、その人たちも、
利権のおこぼれに与りたいから、告発したりもしないのです。
いやいや、どこへ告発したところで、お役所は自分では判断しませんから、
結局はしかるべき利権団体に問い合わせて、何事もなく終わります。

そんな現状に業を煮やした人が、テレビで実情を紹介したとすれば、
甘い汁を吸う利権団体は、黙って見過ごせるはずがありません。
さっそく放送倫理検証委員会に圧力を掛けて、注意させたのが実情でしょう。
少なくともそう思わざるを得ない事実が、農村には渦巻いているのに、
そんな事実を取り上げても利益にならないからか、どこも放送しなかった。
今回の放送倫理違反は、放送倫理が誰のためのものかを考えさせます。

以前にも書きましたが、本当に里山の農家や自然を守りたいなら、
山と里の境界線上のような最前線で、コツコツと生活を営む人たちに、
無条件で支援金を渡せば、そこで人が生活することで管理もされるのです。
それなのに、すでに豊かな暮らしをしている大規模農家を支援しても、
彼らは補助金を得て農作業を疎かにし、自然管理などする気もないでしょう。
倫理を権力者の都合よくねじ曲げていては、この国の将来が心配です。