変わらない電力会社の体質

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停止中の原発で、再稼働のトップ候補となった九州電力玄海原発ですが、
国が突然ストレステストを言いだしたのは、世界の趨勢としてやむを得ません。
しかし原発の是非を問う公開番組では、九州電力が契約子会社に対して、
原発再開支持のメールを送るよう指示していたことは、恥ずかしいことでしょう。
眞部社長が、直接そのような指示をしていたわけではないでしょうが、
「極めて重大な関心事で、万難を排して対応に当たることが重要」との指示から、
課長級の担当社員は、今までやってきた通りに考えて発信した文書では、
「再開容認の立場から県民の共感を得るような意見や質問を発信」を求めたのです。

政府やマスコミは、とんでもない「やらせメール」だとして大騒ぎですが、
こんなことは電力会社にとってはあたりまえで、いつもやっていたことでしょう。
それは、過去に少しでも原発に疑問を持って活動したことのある人なら、
多くの人が不信に思ったことであり、これが電力会社の体質でもあったので、
僕自身も何度となく、電力会社のやらせ体質にはウンザリしたものです。
たぶんそのための対策費や広告費が、湯水のように使われていたのでしょう。
むしろ変わったのは、政府やマスコミの電力会社に対する態度であり、
3.11以前であれば、こんな事はニュースにもならずに数値だけが示されて、
やっぱり多くの住民が原発を指示している!と公表されるのが普通だったのです。

しかし流れは変わったのです。

叩かれても蹴られても、頑張ってくれている菅首相のおかげ?でか?
以前にはマスコミで無視された、脱原発や反原発の意見が表に出るようになり、
いかに原発利権ファミリーの政治家でも、この声を無視できなくなったのでしょう。
マスコミも少しずつですが、湯水の如く広告費を使えなくなった電力会社に、
遠慮して不都合な事実を隠蔽する度合いを、減らしつつあるのかもしれません。
今まであまりにも、電力会社、行政府、マスコミが三位一体で原発を推進したので、
政府が方針転換をすれば、マスコミもいつまでも電力会社擁護は続けられずに、
以前なら表に出なかったこうしたやらせ問題が、にわかに大騒ぎとなったのです。
今まで通りにやって責任を問われる社員は、時流の変化がわからなかったのでしょう。

社員の平均年収が、800万円~900万円と言われる電力会社ですが、
法律に守られて親方日の丸のこれらの会社は、今まで市民の意見など無視をして、
原発に対する公聴会などでは、聞くだけ聞いて何の考慮もする気がなかった。
うっかり原発に対する反対意見が多いと、賛成意見を調達してつじつまを合わせ、
それで市民の合意を得たと宣伝して、反対意見を封じ込めていたのです。
さらにあきれるのは、原発に反対する意見でブログ記事などを書くと、
必ず急に下品な書き込みやリンクが増えて、これが無関係とは思えなかった。
いわゆる“やらせ”と“いやがらせ”が彼らの常套手段だったのではないかと、
そんなことを思わざるを得ないほど、原発推進には下劣卑劣がつきまとったのです。

こうして書いていると、電力会社のマイナス側面ばかり見えてしまいますが、
九州電力にも、本来は優秀な人材が集まっているはずなのを忘れてはなりません。
今日の写真は、日本が持つ大きなエネルギー資源の一つである地熱を利用した、
大分にある九州電力の八丁原発電所で、11万Kwを誇るものです。
国際紛争などの危うい橋を渡って、石油や核燃料などの枯渇資源に頼らなくても、
日本には豊かな自然エネルギーに満ちているのに、なぜこの開発を急がないのか?
「ポスト菅」を騒ぐよりも、「ポスト原発」を真剣に討議して欲しい!
そう思っているのは、けっして僕ばかりではないでしょう。