発送電分離の是非

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すでに東日本大震災から、3ヶ月がたちましたが、
多くの地域では、いまだに瓦礫の山さえも片付かないようで、
今回の震災が、いかに規模の大きなものであったかがわかります。
加えて福島第一原発では、今も放射能漏れは止まらず、
許容限度を超えた作業員の、被曝被害が増えていると聞きます。

このような災害、中でも人為的災害と言われる原発事故に対して、
原因究明と対策が検討されていることは、承知していますが、
以前から言われていて、事故直後も話題になった送発電分離の話は、
何故かマスコミでは、滅多に話題になることがありません。
突然方針転換して、原発推進に疑問を投げかけた勝間さんは、
アッという間に、テレビ界からは干されてしまったようですから、
相変わらず、マスコミを牛耳る電機業界の力は強いのでしょう。

その電気事業法を要とする、巨大な利権構造に対して、
メスを入れられる力があるのは、政治かマスコミでしょうが、
この双方が利権構造の中にあるので、話は少しも進まないようです。
政治家がやっていることは、政権奪取の駆け引きばかりで、
こうした真に重要な政策論争は、少なくともマスコミには出てこない。
市民活動をする人たちの中からは、このような状況に危機感を覚え、
送発電分離に対する署名活動なども、始まってはいるのですが。

その代表的な一つである、てんつくまんの活動を紹介すると、
すでに多くの署名を集めながら、政治家にも働きかけをするようです。
http://maketheheaven.com/japandream/
しかしながら、一部の人が懸念しているように、
送発電分離によって懸念される、電気の安定供給に対しては、
どのように確保するのかの指針がないため、懸念派と平行線をたどる。
http://monokotobibouroku.blog90.fc2.com/blog-entry-618.html

そしていつものことですが、政治的な議論になることもなく、
マスコミは、こうした問題など存在しないかのように無視をして、
まるで官政権さえ交代すればいいような、妙な政治情勢になっている。
僕は官政権を擁護するつもりはないけど、政治議論があまりにもお粗末で、
これでは誰に政権が変わろうと、何も期待できないとしか思えません。
この大きな課題に対して、政治家やテレビ局などもう少し、
まともに議論していただくことは出来ないのでしょうか?

そんな中で、明日12日の「自然エネルギーに関する懇談会」は、
枝廣淳子岡田武史小林武史坂本龍一孫正義といった人たちが、
首相官邸菅首相と懇談会を催すと聞けば、他の政治家よりましに見える。
現在日本各地では、市民有志による様々なエネルギー学習が開かれ、
自然エネルギーを使った発電システムの可能性は、飛躍的に高まっている。
それは単なる技術だけの問題ではなく、政治システムが深く絡むから、
送発電分離は、ことさら重要な政治的課題であり続けるのです。

作家の村上春樹さんは、スペインのカタルーニャ賞受賞講演で、
社会的現実の要求に添って、効率的な電源開発を求めた事自体を批判し、
「日本人の倫理と規範の敗北」とさえ言い切っている。
村上春樹さん:カタルーニャ国際賞スピーチ原稿全文(上)
http://mainichi.jp/enta/art/news/20110611k0000m040017000c.html
村上春樹さん:カタルーニャ国際賞スピーチ原稿全文(下)
http://mainichi.jp/enta/art/news/20110611k0000m040019000c.html

倫理と規範の敗北を招いた原因こそ、経済拡大の効率だったので、
僕らは新しい社会に向けて、見えないところで破壊的な経済拡大を脱し、
何が人を幸せにするのか、十分に考え直す必要があるのです。
電力利権の恩恵や政治権力を狙う、虎視眈々とした日替わり発言より。
こうした地に足のついた議論こそ、僕らは待ち望んでいるのだから、
政治マスコミと言えども、もっと真面目に議論していただきたいのです。