ゆるやかな、メルトダウン

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原発事故の最悪な状態は何かと言えば、メルトダウンと核爆発でしょう。
福島第一原発の場合は、貯蔵されている核燃料の量が膨大なので、
万が一こうした事態になれば、日本は人の住めない国になるかも知れない。
まるでSFのような話ですが、これは現実に僕らが直面している現実です。
実情がわかっている東電と政府は、なりふり構わず世界中に支援を要請して、
この数日は、アメリカでスリーマイル島の事故を扱った科学者や、
世界で最も高い技術を持つと言われる、フランスの原発対策チームが、
続々と日本に訪れていることは、マスコミで紹介されているとおりです。

自社の事故が収められない東電は、原発を維持する資格もありませんが、
すでに12日には、ウラン燃料が核分裂して発生する「セシウム」を検出し、
炉心にある核燃料の一部が溶け出たことを認めていた原子力安全・保安院は、
どうしてその後すぐに、プルトニウムの測定をしてこなかったのか?
実はこの時から、多かれ少なかれ炉心溶融は始まっていた可能性が高く、
あまりのことの重大さに、恐ろしくて発表できなかったのではないかとさえ、
今となっては勘ぐりたくなる、その後の状況と言わざるを得ません。

すでに原発の周囲では、基準の何千倍もの放射能量が当たり前になって、
原発地下水からは、安全基準の約1万倍の放射性ヨウ素が見つかっています。
その原因は、炉心の燃料が溶解して流れ出していると考えるべきで、
すでに原子炉は、爆発こそしていないけど隙間ができはじめているのです。
これはマスコミで絶賛されながら紹介されたとおり、必死の放水のおかげで、
原子炉は爆発するまでには温度を上げずに保っているわけですが、
爆発を急激な核分裂とすれば、緩やかな核分裂は継続しているのです。
発電がコントロールされた核反応なら、コントロールを失った核反応です。

こうした事態を総合的に判断すれば、緩やかなメルトダウンが始まっており、
だからこそ、アメリカ軍は一定の距離を置く必要を感じているのでしょう。
世界中の原子力技術者は、この予測不能の事態に対しては国境も何もなく、
まさしく世界の滅亡を救うために、集結してきているのでしょう。
これが笑って終わる、エイプリルフールの戯言で終わればいいのですが、
今日の写真に写っている福島原発の遠景は、空の青、海の青と違って、
ぼんやり薄いピンクのような、白く濁って見えるのが見て取れます。
この薄ピンクの白い濁りこそ、核反応生成物質であるヨウ素の気化したガス!
と分析されている人の発言を見ると、必ずしも間違っているとは思えません。

この日本で、世界の技術と智恵を結集して、現代文明が救えるかどうか?
と同時に、加害者まで思いやって責任を問わない無責任体質の国が、
世界でどのように評価されるのか、注目せずにはいられないでしょう。
そのくらい大きな事件が、幻魔大戦の如く進行しているのかも知れません。
さらに知るべきは、この事件がいかに大きくても諸個人に無関係でなく、
利益誘導の政治家や、マスコミの宣伝に乗りやすい国民性を育てたあげくに、
原発運動など、マスコミが取り上げないと「存在しない」かのように扱う、
どこまでも他人事文化こそ、大きく方向転換が迫られるでしょう。

自主性のない他人事肥満社会を、スリムな共生社会に変えられるかどうか?
新しい年度の春に、多くの皆さんに考えていただきたいと思うのです。
僕自身、そしてあなた自身の生き方は、それでいいのかどうか、
いつもそれが大事で、そこが間違っていなければ安心立命なのだから。