海とフキノトウと放射能

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一昨日29日の午後、福島第一原子力発電所周辺の海水から、
安全基準の3355倍の放射性ヨウ素131が検出されたことを受けて、
さっそく原子力安全・保安院が、次のように安全だと話していました。
原発から半径20キロの範囲は避難指示が出されているうえ、
 海水は直接飲まれるものでもないし、今後、海流で拡散するため、
 海産物を通して人が摂取するまでに相当薄まると考えられる」

今まで学習してきた放射性物質の知識では、これが生物においては、
蓄積して濃くなることはあっても、薄まることはありません。
例えば昨日見つけたこのフキノトウは、生命活動が活発なので、
ここに放射性物質があれば、すぐに取り込んで蓄積するでしょう。
そのふきのとうを食べる生き物は、さらに放射能濃度を濃くして、
食物連鎖の何代かあとには、数万倍の濃度に凝縮されると聞きます。

日本の平地では、野生の生き物に食物連鎖は少なくなっていますが、
海の中では、今でもしっかりと食物連鎖は生きているはずです。
海水そのものは薄まっていくかわりに、まず微生物がこれを取り込み、
この微生物を大量に食べて生きる小魚が、放射性物質を凝縮する。
さらに中型の魚がこの小魚を食べて、大型の魚が中魚を食べて、
この海域の海の生き物は、またたくまに高濃度の汚染をするのでは?

金額や数値でばかり物事を判断するうちに、頭の中が合理化されて、
“いのち”のように計り知れないものを、無視する習慣が付いたのか、
保安委員の言う安全は、相変わらず不都合なことは無視するようです。
いずれこの保安院は、経産省から分離しないと役に立ちませんが、
生命活動に蓄積する放射性物質の、怖ろしさを知るものにとっては、
あまりにも軽々しい、何が起きても「今のところ安全」には呆れます。
 
それにしても放射性物質は、萌えいずる春の季節が好きなようで、
ほうれん草やタンポポ、幼児などの活発な生命に集まって凝縮されます。
ちまたでは、EM菌が放射能汚染を防いでくれる話もありますが、
EM菌でなくても、命ある微生物なら放射能を取り込んでくれるので、
たくさんの自然の命に囲まれて暮らしている人なら、多少安全かも?
やっと芽が出たフキノトウを見ながら、そんなことを考えました。