燃料環境課長の自殺

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すでに膨大な金額を垂れ流して、一向に見通しの立たない原子力政策は、
末端の被曝者ばかりではなく、管理者をも死に追いやり始めたのでしょうか。
福井県敦賀市高速増殖炉もんじゅ」は、1995年のナトリウム漏れ以来、
昨年まで15年の長期にわたり、経費を使うばかりで発電できていませんでした。
それが昨年、政府の原子力政策推進の大金を使ったキャンペーンと共に再稼働され、
あろうことか、3ヶ月ほどでまた深刻な事故を起こして運転停止になっています。

原子力発電所が抱える被曝者の問題が、ようやく多くの人が知るところとなり、
まもなく次々に寿命を迎える古い発電所の、解体に掛かる未知数の膨大なリスク、
いまだに目処の立たない放射性廃棄物の処分場所など、原発は問題山積の事業です。
この問題だらけの事業を、さらに膨大な宣伝費を掛けて推進する異常な集団は、
内部にいれば、よほど鈍感で無神経な人でないかぎり危機感を持つでしょう。
今回自殺した燃料環境課長は、そうした矛盾を一身に抱えていたのではないか。

15年間停止のあと再開して、たった3ヶ月しか持たなかった高速増殖炉は、
これを修理するのに、17億5000万円の修理費が掛かるそうですが、
例によってこの金額はザル勘定で、確実にこれより遙かに金額がかかるでしょう。
それどころか、修理できるかどうかわからないのが本音ではないでしょうか。
この馬鹿げた国策事業で三菱重工はボロ儲けし、後始末をする気もないですし、
国のエネルギー政策は破綻したまま、宣伝だけで国民を納得させようとしています。

今回のもんじゅの修理は、東芝随意契約で引き受けることになるようですが、
原子炉を開かないと修理できないから、また下請けや孫請けの人が被曝するでしょう。
テレビや新聞の広告で、原子力政策の宣伝に利用されているタレントを見ていると、
いったいどこまでわかって宣伝しているのか? 見ているこちらが恥ずかしくなる。
軍隊のない日本では原子力政策が最大の金蔓で、政府は美味しくて仕方がないからか、
自民党民主党も、けっして原子力政策を変えようとしないようです。

経団連の米倉会長でさえ、今の政治家は給料泥棒と言うしかない状況で、
この馬鹿げた政府のエネルギー政策も、現場の人を限りなく苦しめるのです。
トップに展望がないまま支離滅裂で、出来もしないことばかり宣伝しているから、
それぞれの現場では、どうしていいかわからずにトラブルばかりが増えていく。
今は中央権力には何も期待できないので、地方からコツコツと循環型社会にして、
その総体としての、新しい日本社会を作っていくしかないのでしょう。

これ以上犠牲者を増やさないために、早く原子力政策から手を引いて、
自然エネルギーによる循環型社会を目指す方が、将来のためになるです。