ジャスミン革命

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昨年12月17日、大学を出たが失業中だった26才の青年が、
生活のために野菜・果物を売り歩いていたところ、警察に咎められ、
辱められて商品を没収されたことに抗議して、焼身自殺を図った。
これを知った市場の人々が抗議行動を始めると、町全体に広がって、
4万人のまちで5千人が参加する、大規模な抗議行動になる。
さらに首都チェニスを含めた全国で、一斉に抗議行動が起こり、
弁護士のストまで含めて、大規模な反政府ストに広がります。

年が明けて1月4日には、件の青年が亡くなったことを受けて、
長期に腐敗したベン・アリ政権に対する抗議が、全国に広がるや、
反政府デモとなって、軍も市民の側につき、ベン・アリは亡命する。
これがつい先日チェニジアで起きた、市民革命だったのですが、
暴力ではなく、フェイスブックやSNSによる情報を武器として、
他国が介入する間もなく独裁者を追放した、市民革命でした。
これをチェニジア国花の名を冠して、ジャスミン革命と言います。

その後この国では、暫定政権こそできましたが信用されず、
今は無政府状態に近くて、流動的な政治状態なのだそうですが、
革命というのは、それほど既得権をひっくり返すものなのでしょう。
強権政治の頭を取り替えるのではない、市民革命であればこそ、
しばらくは試行錯誤が続くでしょうが、慌てることはないのです。
幸いこの国は教育程度が高く、今のところ軍の分裂もないので、
時間を掛けて検討を重ね、民主主義国家になればいいと思います。

それよりも問題は、この革命が飛び火しそうな周辺各国で、
特にアラブの大国であるエジプトでは、事態が深刻な様相です。
長期政権のムバラク大統領は、首相以下内閣を総辞職させて、
軍を後ろ盾に、新しい内閣で政権を維持しようとしていますが、
市民の抗議によるムバラク退陣への要求は、収まらないようです。
この場合、軍の動向によっては何が起きるかわからないし、
ムバラクは対決姿勢として、インターネットを遮断したままです。

抗議行動は今日も続いているようですが、ムバラク側は強気で、
各地のデモ会場周辺には、戦車などを配して警戒を強めると同時に、
デモ参加者が集まらないよう、全国の鉄道を運休させたと報道もある。
チェニジアに比べれば、はるかに大国であるエジプトの動向は、
世界のイスラム諸国にとって、大きな関心事であるばかりか、
アメリカやイスラエルにとっても、多大な影響を受ける事態です。
つまりエジプトがどうなるかは、世界の今後を占うのです。

今あらためて、2001年の911事件が何だったのか考えると、
世界のイスラム化に対する、アメリカの自爆テロだったのではないか?
アメリカの肝いりで実権を握った独裁者たちが、イスラムで台頭し、
ついにはアメリカの言うことを聞かなくなって、これを制圧するため、
イスラムの機運を高めて、イスラムを叩くために自爆して見せた。
これによってアフガニスタンイラクは、制圧することができたけど、
仮にも掲げた民主化が、ジャスミン革命として広がってきたのです。

写真は、ベン・アリ打倒を掲げて集まった人々の様子です。