トンボの羽音

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ボロボロの白いトレーナーを着て、農作業をしていると、
頭の上後方で、バサバサと羽音が聞こえることがよくあります。
何かが近くで飛んでいるのだろうとは思うのですが、
振り向くと何もいなくて、飛び去ったあとのようでした。
それが何度か続いて、どうやらトンボらしいとわかり、
脅かさないよう慎重に振り向いたら、肩先にトンボでした。

自然農をしていると、蝶やトンボが増えてにぎやかになり、
時々こうして、僕の体にも羽を休めることが多いのです。
そんな中でも、この白いボロトレーナーは格別に人気があって、
近くにトンボが飛び回っているときは、いつも頭上で羽音がします。
あるいは肩先に止まったまま、しばらくジッと僕を見ている。
もともとトンボは好きなので、親近感が増しますね!

9月には山にたくさんいた赤とんぼも、今は平地に群れて、
時々こうして、僕らの畑の中で体を休めているのを見かけます。
この畑が気に入ってくれたのも嬉しいけど、大型の蝶なんか、
大切なハクサイなどを、もののみごとに食べ尽くされたりもする。
土に育つ作物は、もともと誰のものでもありませんから、
昆虫だって、美味しそうなものを見れば食べたくなるのでしょう。

僕の自然農では、作物の半分は野生生物の分と思っていますが、
すばらしい勢いで野菜を食べる、蝶の幼虫などを見ていると、
駆除したくなる気持ちも、わからないではないのです!
幼虫にも、少しは遠慮ってものを身につけていただきたい。
一ヶ月前にはサンタの森で、体長が10㎝以上の幼虫もいて、
これでは作物を食べられるのも、無理がないと思わされました。

自然農を始める前は、命の連鎖と言っても観念的でしたが、
今は土壌菌から小さな虫に至るまで、全部無関係ではないのが、
実感としてよくわかるし、目の前の現象としても確認できる。
やたらとおカネを使って、COP10がどうのこうのと言うよりも、
地道に目前の命の循環を守っていくことで、生物多様性も育つ。
すでに理屈ではなく、命の喜びとして実感できることなのです!
 
 
ーーーーーーー【追伸】ーーーーーーーーーー
庵さんからコメントのご指摘を受けて、幼虫図鑑を使い、
サンタの森で見かけた巨大幼虫が何者か、チェックしてみました。
色模様からして、セスジスズメかエビガラスズメでないことは確かで、
どちらかと言えば、5齢のキアゲハ蝶の幼虫に見えましたが、
庵さんによると、体長が10㎝にはならないとのことです。
どなたか、わかる方がいらっしゃいましたら教えてください。